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季節の園芸作業

[4月の庭園仕事]

 サクラ前線は順調に北上しているようで、暖地では早くもヤマザクラが咲き出してきています。サクラに続いて、リンゴやナシ、シャクナゲ、ボタンなどが咲き出してきています。ガーデニングもそろそろ夏花壇の準備を始める時期になってきました。

◆買い物情報◆

 園芸店で販売されている鉢物には、本来北国向きの宿根草が多くあります。宿根草でも暖地で育てると夏に枯れてしまいがちですが、夏の涼しい地方ですと、本領を発揮するものです。適地なら、ポットのものを庭に下ろしてもよいでしょう。

オステオスペルマム

 南アフリカ原産のキク科の宿根草です。デモルフォセカに似た花姿ですが、耐寒性は強いほうで、関東南部ならば露地で越冬できます(−5度まで)。高温多湿を嫌うので、花壇よりも鉢植えかコンテナ植えがよく、夏は涼しい半日陰管理します。

ポリガラ・ミルティフォィア・グランディフォィア

 南アフリカ原産のヒメハギ科の常緑低木です。日当たりと風通りの良いところで管理し、花後に1/3〜1/2ほど切り詰めて、一回り大きな鉢に植え直します。ポリガラの仲間としては寒さに弱いので、冬は室内で管理するのが安全です。

ジャステシア・リッジニー

 南アメリカ原産のキツネノマゴ科の非耐寒性常緑低木で「ジャコビニア」の名前で販売されることが多いようです。高温多湿を好み、強い日射を嫌いますので、通年半日陰から明るい日陰で管理し、寒さに弱いので冬は室内で保護します(越冬温度8度)。花後に枝を切り詰めるか、2/3くらい刈り込むと形が整います。

水はけの良いことを好むオステオスペルマム。品種は「レモン・シンフォニー

ポリガラ・ミルティフォリア・グランディフロラはポリガラの中では寒さに弱い

室内の鉢物としてもよい
ジャステシア・リッジニー

ハイドランジアの鉢物の管理 

 今年もいち早くハイドランジア(西洋アジサイ)の鉢物が並べられはじめました。もともとは梅雨時に開花する性質なのですが、近年は春早めから促成で咲かせたものが出回るようになっています。大きな花房をつける割に、小さめの鉢で仕立てられていることが多いので、水切れしやすく、また枝先が重くてバランスが悪く、風が吹いたりするとすぐに鉢が倒れたりします。鉢からすぽっと抜けるなら、一回り大きな鉢にそのまま移してやり、抜けない場合は鉢ごと大きめの鉢に入れておくと倒れにくくなります。

<ハイドランジアの鉢物の管理ポイント>

ハイドランジアの新しい品種
ラブリー・エレガンス
(2007関東東海花の展覧会にて)

ハイドランジアの新しい品種
スプリングエンジェル・ピンクエレガンス
(2007関東東海花の展覧会にて)

オーストラリア・南アフリカ原産植物の管理方法

 相変わらず、オーストラリアと南アフリカ原産の植物が多く導入されています。目新しさで人気がありますが、長持ちさせられないことも多いようです。育て方のポイントを紹介します。

<栽培のポイント>

 種類によって性質が違うのですが、概して次のことに気をつけるようにしましょう。

花後に切り戻しと植え替えを

 花が終わったら、枝を切り戻します。切り戻す量は、種類によって違いますが1/3〜1/2ほどです。植え替えもこの時期。2年に1回は、根回りの土を多少落として、一回り大きな鉢に植え直します。ボロニアは根詰まりしやすいので、毎年植え替えます。

夏の高温多湿を避ける

 もともと乾燥地原産の植物で日本の夏の高温多湿は苦手です。夏はなるべく涼しいところで雨を避けて管理します。本来、日当たりを好むものが多いのですが、夏だけ、明るい半日陰のところに置くようにしてもよいでしょう。

水やりは控えめに、肥料は少なめ

 全般的にかさついた感じの種類が多く、多湿を好みません。水はけのよい用土で、水やりを控えめにするのが無難です。肥料はチッ素分の少ない固形肥料を春と秋に少量与えればよいでしょう。アニゴザンツスやリューコスペルマムなどはリン酸分の肥料を嫌います。プロテアなどは生育に問題がないようならば、無肥料でよいものです。

冬は室内か寒風の当たらない軒下の陽だまり

 冬から早春にかけて出回る鉢物は促成で咲かせたものです。こうした花つきの鉢物は6、7度が保てる室内の日当たりのよい窓辺で管理するのが安全です。持ち込んだものは、凍らさない程度に保護すればよいようです。低温期の多湿は禁物です。

寄せ植えにするときの注意

 寄せ植えに使う場合は、乾かし気味に育てるものだけで組みましょう。普通の植物と一緒にすると、根腐れをおこしがちです。また、庭植えや花壇には概してあまり適しません。

アニゴザンツスは日当たりと水はけよく。
肥料はリン酸分控えめで

花後に植え替えると機嫌がよい
ボロニア・ピンナータ

カメラキウム(ワックスフラワー)
花後に軽く剪定を

家庭菜園を始めよう

<夏野菜の畑の準備>

 家庭菜園の醍醐味のひとつがトマトやキュウリなどの夏の果菜でね。植え付けはゴールデンウィーク頃(関東南部標準)ですから、そろそろ畑の準備をしておきましょう。 まず予定している畑の土壌の酸度を和らげるため1平方mあたり苦土石灰を100gほど散布して、ついでN:P:Kが5:5:5ほどの化成肥料160gと堆肥を3〜5kg散布し、よく耕して、均しておきます。

<春野菜の種まきと苗の植え付け>

 遅霜の心配がなくなったら、春野菜の種まきや植え付けをしましょう。ネギ(4月上旬まで)、コマツナ(通年)、ホウレンソウ(5月中旬まで)、リーフレタス(4月下旬まで)、コカブ(5月上旬まで)、スエダマメ(4月下旬から)、イ−トコーン(4月下旬から)、インゲン(4月下旬から)が適期で、ポットまき(室内保温)ならば早めにまくことができます。

 苗が少数でよい場合やまき遅れてしまった場合は、ガーデンセンターなどで販売されているポット苗を利用しましょう。チンゲンサイなどで1ポットに数株入っている場合は、ポットの底から根が出てこないものを選んで、早めに分けて移植します。ハーブ苗も同様に植えつけられますが、バジルやレモングラスなど高温性の種類の庭への定植は4月下旬以降まで待ちましょう。


そろそろ定植したい野菜・ハーブ苗(左からコマツナ、バジル、ミブナ)

花木・庭木の手入れ

 芽吹いたばかりの新芽や新葉は病虫害の被害を受けやすいもの。特にウメ、サクラ、バラ、モミジ・カエデ類、ツバキ・サザンカ、シャクナゲなどの新芽はアブラムシがつきやすいので注意しましょう。

 また、冬から、春早く咲いてくれた花木類の花後の剪定を済ませていない場合は、早めに行ないます。

<アブラムシ対策>

 アブラムシ類は農薬には弱いのでだいたいの殺虫剤で退治できますが、1度退治しても、すぐに風に乗って新しい虫がやってきます。効率的なのは長期間薬効が持続する(1度散布すれば3週間〜2か月くらいもつ)浸透移行性の殺虫剤(オルトランやベストガードなど)です。

 なお、ウメやモミジ・カエデ類は薬に弱く、薬害を起こしやすいので、葉が固まるまで待ってから散布するようにしましょう。鉢植えや小さな木の場合は、指先でつぶすのが安全です。

<バラには混合散布>

 バラは病害虫の多い植物です。芽出しから週に1回、殺虫剤(スミチオンなど)と殺菌剤(ダコニールなど)を混合散布しましょう。

<花木の花後の剪定>

 ツバキは花が終わった木から剪定をします。花が咲いた枝は、来年はよい花をつけませんから、枝の基の方に2芽くらい残して枝を切り詰め、花が咲かなかった枝は来年花が咲きますので、大切にします。ただ、残す枝のバランスを見て、混みすぎるようなら、こうした枝も2、3芽残して切り詰めます。サザンカも同様に行ないます。

◆イベント情報◆

大阪フラワー・ガーデンショー2008 (大阪)
期間:4月18日〜20日 会場:花博記念公園鶴見緑地水の館 連絡先Tel 06-6615-6355
第10回国際バラとガーデニングショウ(埼玉)
期間:5月14日〜19日 会場:所沢市・西武ドーム http://www.bara21.jp/

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