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季節の園芸作業

[7月の庭園仕事]

今年も各地で夏の最高気温が更新されているようです。地球温暖化の現れでしょうか。もともと熱帯地方よりも暑苦しくてすごしにくい日本の夏ですが、どうなってしまうのでしょうか。暑さが続くと、花壇やベランダでは、暑さに負ける株がでてきます。弱った株は病害虫の発生も多くなりますので、早めに抜き取るなどの対策を取りましょう。

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夏咲きの鉢物花木

 在来のムクゲやフヨウ、サルスベリに熱帯地方原産のハイビスカス、サンタンカ、ペンタスなど、夏に花を咲かせ続けてくれる鉢物は貴重ですね。ただ、株に比べて鉢が小さなものは(小鉢のものは要注意)、水切れしやすく、根詰まりで花が続かなくなることがあります。入手したら、そっと鉢から抜き、根回りを少しほぐして一回り大きな鉢に植え直すようにしましょう。肥料は、マグァンプKなど緩効性の固形肥料を月1回ひとつまみほど与えます。

球根類

 秋咲き球根類の中では、アマリリス・ベラドンナ(ベラドンナリリー)、リコリス類の植え付け時期です。リコリス類は、根が乾くと傷むことがありますので、早めに入手して植えつけましょう。

花期の長いサルスベリ

夏花壇の手入れ

 夏の花壇やベランダではポーチュラカやアメリカンブルー、マリーゴールド、サフィニア、ジニア類、ニチニチソウなどが盛りの時季です。途切れなく長く咲かせるためには、日頃の手入れが大切です。

花がらつみ

 咲き終わった花に種子ができないように、花がらをこまめに摘み取ります。コリウスは蕾が出てきたら、花を咲かせないで摘み取ります。

剪定み

 混みすぎたところや長く伸びて花が付かなくなった枝は、切り詰めて代わりの枝を出させます。サルビア、ダリアなどで、暑さに弱ってしまった株は、根元から15センチほどで剪定しておくと秋に再生します。

追肥み

 液肥(月に2回くらい)か緩効性の固形肥料をひとつまみ追肥します。

水やりみ

 トレニアやインパチエンスは水切れに弱いですから、花壇や庭に植えた場合も土の乾き具合を確かめ、雨が降らない場合は、2、3日に1回くらいたっぷりと水やりしましょう。

挿し芽み

 間伸びした株は、挿し芽で作りなおしましょう。ポーチュラカやマツバボタン、アメリカンブルー、ニチニチソウは、枝を切って清潔な砂か赤玉土に挿せば、すぐに発根します。

乾燥に強いポーチュラカ

次々に花が咲くニチニチソウ

ニチニチソウの挿し穂。
下の葉を取り除く

秋咲き球根の植えつけ

 秋咲き球根には個性的な種類が多く、また植え付けて短期間に花が咲くのもうれしいですね。今の時期に植えられる人気種を紹介します。

アマリリス・ベラドンナ

 大輪・芳香性の花で人気があります。開花時期は9月。球根は、大きくて傷がなく、持ってみて重たく感じられるものを選びます。遅くとも8月中旬頃までに植えつけておきましょう。なお、チッソ分の多い用土を嫌いますので、市販の培養土は禁物。川砂、赤玉土に腐葉土を2割くらい入れた用土がベストで、球根よりもやや大きい程度の小さめの鉢に植えるのがポイントです。やや寒さに弱いので、庭植えは東京以南で、寒風の当らない南向きの建物脇の花壇などに。

リコリス類

 ヒガンバナの仲間です。開花時期8〜9月。なるべく早めに植えましょう(遅くても8月中旬までに)。植え方はアマリリス・ベラドンナと同じ要領でよいでしょう。秋に葉が出るタイプ(ヒガンバナ、ショウキラン、シロバナマンジュシャゲなど)と春に葉が出るタイプ(ナツズイセン、リコリス・スプレンゲリ)があり、前者は寒さに弱いものが多いので、関東以南では鉢植えにします。ヒガンバナは寒さには比較的耐えられるので、霜が強く降りるところでは落葉樹の下などに。

 ネリネ(ダイアモンドリリー)、サフラン、ステルンベルギア、コルチカムは8月いっぱいくらいまでに植えつければよいでしょう。

豪華な花容で人気の
アマリリス・ベラドンナ

最近は庭植えされるようになった
ヒガンバナ

夏の病害虫防除

 夏の猛暑や日照りで株が弱ってくると、病害虫の被害を受けやすくなります。病虫害が出たら早めに見つけて、被害が大きくならないように対処しましょう。

病害虫対策のポイント

 害虫は早めに見つけて、早期駆除。病気は発生しないように丈夫に育てるのがポイントです。油粕などチッソ肥料のやりすぎは、株が軟弱に育ち被害を受けやすくなります。草や木も、繁りすぎたところは枝をすかしてやり、風通しよく育てれば、病害虫の発生も少なく、たとえ発生してもすぐにわかるので早めの対策が取れます。

うどんこ病

 樹木類や草花の葉にうどん粉がまぶされたようになる病気です。サルスベリなどに発生すると、花が咲かなくなります。発生の初期に見つけてベンレートなどの殺菌剤を散布しましょう。ハナミズキなどにも多く発生します。

毛虫や青虫など

 大型の虫は、早めに見つけて箸などでつまんでビニル袋にいれて処理すればよいでしょう。大量に発生したときや、ツバキやサザンカにチャドクガが出たときは、やはり農薬の散布が必要です。虫の体に掛かるようスミチオン乳剤などの殺虫剤を散布します。

アブラムシなど小型の害虫

 牛乳を生のままスプレーで散布すれば退治できます。これは牛乳の脂肪分がアブラムシの体を被って窒息させたり、乾いて圧縮死させるものです。2、3日後に潅水して牛乳分を洗い流しましょう。

ハダニ

 コーヒーの飲み残しをそのまま散布します。ハーブ類(バジル、チャイブ、トウガラシ、ニンニクなど)の煮出し液も効果があるようです。

草花・ハーブ類の体質改善

 木材を燃やしたときに出る煙の成分を集めた木酢液やハーブ類の煮出し液が植物の体質改善や病気の予防(うどんこ病ほか)に効果があるようです。農薬を使いたくないハーブや野菜類にはいいですね。ただ、効果の出方は一様ではありませんので、その植物、またどのタイミングが一番効果的なのかは、ご自分の体験で調べるようにしましょう。

夏の種子まき

 ガーデニングもベテランになってきたら、ご自分で種子をまいて、苗を作りたいですね。ちょうど、この暑い間がハボタン、パンジー・ビオラの種子まきの時期です。今年は、夏の種子まきに挑戦しましょう(そのほかの種類の種子まきは9月中旬以降で間にあいます)。

<ハボタンの種子まき>

まき時期

 ふつうは7〜8月。寄せ植え用の小苗作りなら9月。

まき床と用土

 平鉢に清潔なピートモスとバーミキュライトを等量混合

まき方

 鉢全面にばらまきに、覆土は1センチくらい。

発芽までの管理

 まき終えたら腰水し、発芽まで管理。

移植

 4、5日で発芽する。本葉が出てきたら3センチ間隔で移植し、1か月後に10〜12センチ間隔で移植。発芽したら、5〜7日おきに液肥を与えます。

注意

 青虫がつきやすいが、薬害が出やすいのでスミチオン乳剤は使わないこと。サイアノックス乳剤を散布。

<パンジー・ビオラの種子まき>

 種子まきの時期は、8月下旬から9月上旬(関東地方標準。寒冷地ならば2週間くらい前、暖地ならばその分遅くします)ですが、種子をそのまままくと、発芽がよくありません。まく前に1か月くらい、低温処理するのがポイントです。まだ、種子の手配をされてない方は、早めに入手して、低温処理を行いましょう。

冷蔵処理の方法
低温処理とは

 パンジー・ビオラは種子をまく前に低温処理が必要。低温処理は、種子に吸水させてから、冷蔵すること。

低温処理の期間

 1か月ほど必要。まく時期に合わせて低温処理を始めます。

低温処理の方法
  深めの小皿の底にさらした木綿などの小布を敷き、水を注いで湿らせ、その上に種子を置く。小皿の表面をサランラップで覆って密閉し、冷蔵庫の野菜室に保管します。
種子のまき方

 予定の時期がきたら、冷蔵庫から取り出して種子まきです。なお、3、4日ずつずらして、2、3回に分けてまくと、失敗が少なくなります。

まき床と用土

 まき床はピートバンか平鉢、平箱がよく、まき土は市販の小粒の種まき用土が便利です。

まき方

 種子が重ならないようにばらまきし、種子がかくれる程度にごく薄く覆土をします。

置き場所

 涼しい半日陰の場所に置けば、1週間か10日で発芽するはずです。発芽まで、水を切らさないように注意し、平鉢の場合は腰水にしておくとよいでしょう。

移植

 発芽して、本葉が1枚になったら移植します。

バラの夏の手入れ

 冷涼乾燥を好むバラは、高温多湿が苦手。夏は、バラ作りで一番難しい季節です。病気や水切れで葉を落とすと、秋によい花を咲かせられません。

水やり

 バラは水を好みますので、水切れに注意。特に鉢植えでは土の乾き具合に注意し、必要ならば朝夕の2回行うようにします。庭植えの場合も、晴天が続く場合は朝か夕方にたっぷりと散水しましょう。

病害虫防除

 夏はハダニの発生時期です。定期的に専用の殺ダニ剤か殺ダニ成分の入っているスプレータイプの混合農薬を散布します。黒点病の予防にはダコニールとサプロールを交互に散布しましょう。カミキリムシ類は見つけたら捕殺し、幹に木屑が付いているときは幼虫が入ってしまったものですから、食入穴を見つけて、スミチオンなどの20倍液をスポイトで穴に注入し、ガムで穴をふさぎます。

肥料

 四季咲きの種類には、月1回、親指大の有機固形肥料を7、8粒と液肥を月2回くらい追肥します。一季咲きの種類の場合は、量を半分にします。

花がら摘みと剪定

 イングリッシュローズやオールドローズの四季咲きの品種の場合は、花がらを切り取った下から伸びる枝や株元から伸びるシュートに花を付けますので、そのまま伸ばします。

 一季咲きの種類は、枝もシュートも切り戻します。

 ハイブリッド・ティーローズは、夏はよい花が咲きませんので、蕾が出ても咲かせないで摘み取って体力を温存させましょう。夏の剪定は、8月下旬〜9月の中旬(日の最低気温27、8℃以下になってから)に、2番枝の中間程度で切り戻します。生育期間中ですので、葉を多く残すようにするのがポイントです。

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