日本園芸協会〜園芸情報サイト

季節の園芸作業

[7月の庭園仕事]

 6月は初夏の温かさと入梅後の寒さで体調を崩しがちでしたね。あと少しで梅雨明けです。去年中止された東京・入谷の朝顔市(7/6〜8)が開催されます。浅草のほおずき市(7/9〜10)も行われます。夏の風物詩ですね。

【特集1】買い物情報

ミナロバータ(Ipomoea lobata)

 メキシコから中央・南アメリカ地域原産の、ヒルガオ科の多年草です。つる性であんどん仕立てにしたり、フェンスに這わせたりして楽しみます。
 花柄に多数の壺形の花がならんでつきます。花の色は最初赤色ですが、だんだんオレンジ色から黄色、白色に変わっていき、美しいグラデーションを呈します。
 多年草ですが耐寒性がないので日本では夏に花が咲く一年草扱いです。日当りと排水がよい場所で育てます。

ミナロバータ
▲ミナロバータ
鮮やかな花がつく、つる性植物。
▲ミナロバータの花
▲ミナロバータの花
一つのつるの先に2つの花序がつきます。
コロキア(Corokia cotoneaster)

 ニュージーランドに分布するミズキ科の常緑低木です。小枝が曲がりくねっていて、おもしろい樹形になります。葉も丸型やクラブ型になり、緑色から黒色を呈します。庭木や垣根にしてもおもしろいですね。日当りや水はけのよい土壌を好みます。

コロキア
▲コロキア
くねくねと小枝が曲がりくねります
コロキア花
▲コロキアの葉
矢印のような形で黒〜緑の色の変化があります
リシマキア‘ボジョレー’(Lysimachia atropurpurea‘Beaujolais’)

 ヨーロッパ南東部原産のサクラソウ科の多年草です。日本で白い花序をつけるトラノオの仲間です。ワインレッドの花とモスグリーンの葉が、銅葉との寄せ植えに映えます。日当たりの良い場所で、水はけのよいところで育てます。春から秋にかけては市販の緩効性肥料を与えると、よりよい株になります。冬は霜のあたらないところで管理します。

リシマキア
▲リシマキア
動物のしっぽのような形
リシマキア花
▲リシマキア花
小花が房状に集まっています

【特集2】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>

 梅雨の間、あまり手入れのできなかった花壇では、病害虫が発生していたり、茂りすぎた株もでてきます。早めに見回って、薬剤散布や害虫の捕殺、茂りすぎた枝の剪定をして、夏に備えましょう。

<花木・庭木>

 ツバキサザンカウメツツジシャクナゲ類などの春咲きの花木類は、これからの時期に来年の花芽を作ります(これを「花芽分化」といいます)。今の時期に枝を切ったり、肥料をやったりすると、この花芽分化のメカニズムが乱されますので、注意しましょう。株の根元から出た台芽や徒長枝の切り詰めるほかは、特に込みすぎた枝の間引きや、伸びすぎた枝の先を止める程度にします。

<花鉢物>

  梅雨が明けると、多くの鉢物類には厳しい日本の夏が始まります。これまで日当たりに置いていたフクシア球根ベゴニアシャコバサボテンマーガレットユーリオプシスデージーシンビジウムなども強い直射日光の当たらない、半日陰程度の風通りのよい涼しい場所に移しましょう。
 なお、鉢物類の水やりは朝の涼しい時間にたっぷりと与えます。夕方までに土が完全に乾いてしまう場合は、置き場所を変えるか鉢を一回り大きなものに植え直しましょう。

<家庭菜園・ハーブ>

 ナストマトキュウリなど夏野菜の収穫の盛期になります。肥切れさせないよう、2〜3週間おきに定期的に追肥をあたえ、根元に土寄せしましょう。また、晴天が続くようになったら、土が乾燥しすぎないように涼しい朝か夕方にたっぷりと水やりしましょう。
 ハーブ類は夏の高温多湿を嫌う種類が多いので、茂りすぎた株は枝を切りすかし、ラベンダーなど、花が終わった株は切り詰めます。

【特集3】夏に強い多肉植物

 最近、多肉植物の仲間が人気になっているようです。一口で多肉植物といっても多くの種類があります。意外と知られていないのは、多肉植物には、夏の暑さに弱い種類が多いこと。メセンやコノフィツムなどのように夏は完全に休眠する種類もあり、そこまでいかなくても暑い時期は水を控えてすごさせる種類が多くあります。そのなかで、夏も元気よく育ってくれるのは夏成長型のエケベリアやセダム、カランコエなどベンケイソウ科の仲間(一部、夏に弱い=冬成長型もあります)。丈夫で乾燥に強く、よくふえてくれるものうれしいですね。寄せ植えやタペストリーに作る場合は、同じ性質(生育型、日照の好みなど)のものを用いるようにしましょう。

<多肉植物の夏の管理>

置き場所
 よく日の当たる雨の当たらないところ。夏に休眠する種類は半日陰の涼しいところがよい。セダム類やカランコエ類の丈夫な種類は戸外の雨ざらしのところでもよい。
水やり
 夏生育型の種類も、原則控えめ。土が乾いてきてから1日待って、葉にかけないように水やりする。1回の量はたっぷりと行う。葉の付け根に水がたまると、腐り込みやすいので注意。
肥料
 夏の間は、原則として不要。
植え替え
 小鉢の場合は年1回。大鉢の場合も2年に1回はしたい。冬成長型は秋(10月)、夏成長型と春秋成長型は春(4、5月)が無難。
繁殖
 株分けや挿し芽は植え替えと同時期に行える。葉ざしはほとんどの種類可能(セネシオなどを除く)。方法は、乾いた土・砂の上に葉を置いて、芽が出るまで半日陰のところで管理し、芽が出たら日向に移す。芽が伸びてきたら霧吹きで水を与え、芽が3センチくらい伸びたら鉢上げし、以後は普通の管理でよい。

【特集4】アサガオとホオズキの鉢物

 アサガオやホオズキの鉢物が目立つ季節です。各地のほおずき市や朝顔市で入手される方もおいででしょう。このアサガオやホオズキは、本来は真夏の花で、今頃の鉢物は促成で仕立てたもので、鉢植えとして見栄えをよくするために、鉢の大きさよりも多く株が植えられています。そのため、すぐに鉢いっぱいに根が回ってしまい、アサガオでは花の数が少なくなったり、花が小さくなったりします。また、水切れしやすくなり、葉や蕾、果実が落ちたりすることが多くなります。できたら、鉢底から長く根が出てくる前に、1、2回り大きな鉢に植え替えてやりましょう。

 朝ちょっと早起きし、日が照りつける前に鉢からそっと抜き、一回り大きな鉢に植え直します。用土は市販の培養土でよく、用土に肥料を混ぜる必要はありません。行灯仕立てのアサガオには、行灯の外側に一回り大きな行灯を立て、新しくの伸びてきたツルは外側の行灯に誘導するようにします。植え替えたら、たっぷりと水やりし、その日は半日陰のところに置き、翌日から日のあたる場所に移します。1週間位したら、小さじ一杯くらい、マグアンプKなどの緩効性固形肥料を鉢の表面にばらまけばよいでしょう。

【特集5】秋咲き球根の植えつけ

 土の中から、いきなり蕾をもたげて鮮やかな花を咲かせてくれるリコリスやアマリリス・ベラドンナは、庭の表情を変えさせてくれる魔法の球根類です。今が、この秋咲き球根の植え付け時期です。

<リコリス類>

 ヒガンバナの仲間で、英語では花びらが細長いのでスパイダーリリー。日本や中国原産なのに、なぜかエキゾティックな感じがします。欧米の改良種が出回るようになっています。

植え場所
日当たりと水はけがよい肥沃地。夏に乾燥しないところがベストです。明るい落葉樹の下などでもよい。中国原産とされるヒガンバナやナツズイセンは耐寒性がありますが、日本原産のショウキランやシロバナヒガンバナは関東地方以南の暖地向きです。
植え時期
なるべく早めに、8月中旬には植え付けます。
植え方
植える前にあらかじめ堆肥をすきこんでおき、根を広げて植えること(リコリス類は休眠中も根が生きているので、根を切らないように)。株間は10〜15センチ、覆土は球根1球分。
管理
花後に有機配合肥料を1つかみ株元にすきこめばよいでしょう
鉢植え
6、7号鉢に3〜5球植え。ナツズイセンなど大球性の種類は1〜3球。植え替えは毎年か2年に1回。夏も土をあまり乾かさないように。

<アマリリス・ベラドンナ>

 南アフリカ原産のユリに似た大輪で香りのよい花を咲かせます。別名はベラドンナリリー。リコリス類よりも寒さに弱いので鉢植えが無難です。関東地方以南の暖地ならば庭植えもできます。

植え時期
早めに植えつけ、遅くとも8月中旬頃までに植えつけます。
用土と鉢
チッソ分の多い用土を嫌うので、市販の培養土ではなく、川砂か赤玉土に腐葉土を2割くらい入れた用土を調合します。鉢は、球根類よりもやや大きい程度の小さめの鉢にします。
植え方
球根の先端がちょっと出るくらいの浅植えにします。
管理
花が咲いたら葉が出てくるので、冬までは戸外の日当たりで管理します。霜が降りる前に、室内の凍らない日当たりに取り入れ、春また外に出します。葉が枯れてきたら、日の当たらない涼しい場所に移し、水やりも月に1回くらいにします。
施肥と植え替え
肥料は春と秋にハイポネックスの液肥を月2回ほど与えればよく、植え替えは好まないので3、4年に1回でよいでしょう。

【特集6】イベント情報

県名 イベント名 期間・場所・連絡先
東京 あじさい観賞 期間:6月9日〜7月8日
場所:あきる野市・サマーランド
TEL:042-558-6511
URL:http://www.summerland.co.jp/index.html
入谷 朝顔まつり 期間:7月6日〜8日
場所:台東区・入谷鬼子母神/入谷中央商店街
TEL:03-3842-0181
浅草寺 ほおずき市 期間:7月9日〜10日
場所:台東区・浅草寺
TEL:03-3842-0181
ギンザフラワーレターズ第6便
「国産スプレーマム」
期間:4月16日〜7月15日
場所:中央区・銀座ソニービル1階
TEL:03-3434-9554
涼風七夕展 期間:7月15日〜16日
場所:東久留米市・創美流華道会館
北海道 北海道ガーデンショー 期間:6月2日〜10月8日
場所:清水町・十勝千年の森
TEL:0156-63-3400
URL:http://www.hgs.co.jp/
静岡 大温室 エキゾチックガーデン 期間:5月26日〜9月17日
場所:浜松市・はままつフラワーパーク
TEL:053-487-0511
愛知 ダニエルオスト 華麗なるテーブルコーディネーション 期間:6月27日〜7月2日
場所:名古屋市・松坂屋名古屋店
TEL:052-241-8118
よみがえる万葉展 期間:7月3日〜16日
場所:名古屋市・東山植物園
TEL:052-782-2111
大阪 長居植物園
ハスの見られる早朝開園
期間:6月30日〜7月22日の(土)(日)(祝)
場所:大阪市・花と緑と自然の情報センター
TEL:06-6694-8788
兵庫 夏のインドアグリーンフェア 期間:6月16日〜8月31日
場所:宝塚市・あいあいパーク
TEL:0797-82-3570
食虫植物展 期間:7月28日〜8月12日
場所:加西市・兵庫県立フラワーセンター
TEL:0790-47-1182