日本園芸協会〜園芸情報サイト

季節の園芸作業

[9月の庭園仕事]

 まだまだ暑い日が続きます。今年の夏も暑かったので、植物にもそのダメージが現れる頃です。これから台風のシーズンもきますので、しっかりと対策をたてていきましょう。

【特集1】買い物情報

ユーコミス(Eucomis autumnalis)

 南アフリカ原産のユリ科の球根植物です。花は白から緑色へ変化する総状花序です。総状花序の上についているのは葉状の苞で、全体の様子がパイナップルのように見えることから、「パイナップルリリー」の呼び名で親しまれています。
 排水の良い肥沃な土を好み、日当たりのよい所で育てます。耐寒性は強く、霜よけは必要ですが休眠しながら越冬します。

ユーコミス
▲ユーコミス
パイナップルに似ています?
ユーコミスの花
▲ユーコミスの花
緑色の花が集まって形成しています
リッピア(Lippia repens)

 ペルー原産のクマツヅラ科の低木です。ヒメイワダレソウや、スイートメキシカンハーブの呼び名もあります。葉が甘く、マテ茶の甘味料としても使われるのでハーブと分類することもあるようです。匍匐しながら広がり、ポンポンのような白く小さい花が長期間咲き続けます。寄せ植えやグラウンドカバーなどに最適です。

リッピア
▲リッピア
葉が甘く、ハーブとして注目されています
リッピアの花
▲リッピアの花
小さい花がポンポンと咲きます
エルヴァタミア(Ervatanua pandacaqui)

 インドなど熱帯に原産するキョウチクトウ科の常緑低木です。夜芳香を放つ白い花を咲かせます。ホワイトエンジェルという呼び名もあるようです。熱帯なので暑さに強いですが、寒さに弱く、秋頃から落葉するので室内に取り込みます。

エルヴァタミア
▲エルヴァタミア
明るい色の葉がきれいです
エルヴァタミアの花
▲エルヴァタミアの花
ジャスミンに似た形の花です

【特集2】季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>

 そろそろ秋のガーデニングがシーズンインです。秋花壇をこれから作るなら、ジニアサルビアマリーゴールドコスモスなど秋遅くまで咲き続けてくれる種類を選びましょう。
 また、来年の春花壇を考える時期です。最近はナチュラルガーデンにチューリップスイセンなどの球根類を取り入れる方が多くなっているようです。チューリップならアクミナタやユリ咲きのやさしい草姿のもの、スイセンならばジョンキラやキクラミネウス、トリアンドロスなどの原種系が使いやすいですね。もちろん大輪系でも、1か所に数球ずつ植えるようにすればよいでしょう。
 秋の種子まきは、日中の最高気温が25℃以下になったころが目安です(例年ですと、9月15〜20日ごろから)。また、この頃が熱帯花木類や宿根草類、ハーブ類の挿し木・挿し芽ができる時期です。

<花木・庭木>

 そろそろ本格的な台風シーズンに入ります。庭や建物などで、補強や手入れの済んでいないところがないか、早めにチェックしておきましょう。
 クチナシ類ではオオスカシバの発生期です。油断すると丸裸にされてしまいますから、スズメバチに似たガが飛んでいたら要注意です。小さなときは殺虫剤、大きくなった場合は、箸でつまんで退治します。ツバキサザンカではチャドクガが発生します。なるべく小さなときに見つけて、オルトランやスミチオンなどの殺虫剤を散布します。また、収穫の済んだ果樹類ではお礼肥を与える時期です。

<花鉢物・観葉植物>

  クリスマスローズは秋になると根が動き出します。鉢替えや株分けは早めに済ませましょう。
 短日(夜が長くなる)で花芽形成するポットマムポインセチア初恋草カランコエには夜間の照明を避けましょう。ミヤコワスレシャコバサボテンも花芽形成時期です。よく日に当てるようにし、水やりを控えめにします。やはり充実期のノビル系デンドロビウムオンシジウムも同様の管理です。夏の間、半日陰に移しておいた鉢物類も、直射日光に弱いもの以外は日向に出すようにします。なお、ポインセチアカランコエは、普通に管理していたのでは、クリスマスのシーズンに花(や苞葉)が咲かないことがあります。こうした種類を上手に楽しむためには、短日処理を行うのが確実です。ポインセチアは1か月半くらい、カランコエは1か月くらい短日処理をします(夕方の5時くらいから翌朝9時くらいまで、上から箱をかぶせて光を当てないようにします)。

<家庭菜園・ハーブ>

 今月も秋冬野菜の種まきの時期。シュンギクは10月上旬、ホウレンソウは10月一杯にまけばよいでしょう。ダイコンハクサイレタスキャベツブロッコリーの苗は9月上旬に畑に定植します。ナスピーマンオクラは中旬に化成肥料を追肥し、土寄せしておきます。
 ハーブでも残暑が収まり、気温が25℃以下になったら種子まき、挿し木ができます。また、花茎の出てきたバジルや夏越しできたナスターチウムは、切り戻ししておきましょう。

【特集3】秋の草花鉢物の入手と管理法

 リンドウコスモスクジャクアスターシュウメイギクジョウロウホトトギスなど、いかにも秋を感じさせてくれる草ものの鉢植えが出回ってきました。良品は、下葉までよく葉がついていて、しおれたり縮れたりした葉がないものです。

<種類別の管理法>

宿根アスター 
 ユウゼンギクやミケルマスデージーなどシオン属を宿根アスターと呼んでいます。置き場所は日向から半日陰程度で。株が込んでいる場合は、一回り大きな鉢に植え直します。高性(背が高い)の場合は、鉢が倒れやすいので、鉢ごと一回り大きな鉢に入れておくとよいでしょう。エゾギクもアスターと呼ばれますが、こちらは別属(Callistephus)で一年草
リンドウ
 日向に置き、水切れに注意します。強健で育てやすい種類ですが、蕾は日が当たらないと開きません。
ケイトウ
 ケイトウには赤や黄色に色づいた葉を観賞するハゲイトウと花穂を観賞するトサカケイトウがあります。株の大きさの割に小さめの鉢に植えられていることがほとんどなので、入手したら1〜2回り大きめの鉢に植え替えるようにします。
シュウメイギク
 大株は水切れに注意。強い風の当たらない日向に置き、根が強いので一回り大きな鉢に植え直すか庭植えにします。

 ※なお、コスモス宿根アスターなど次々に花が咲き続ける種類には、液体肥料を2週間に1回追肥します(そのほかの種類には、花の時期には肥料は不要)。水やりは、鉢土の表面が白く乾いてきてからたっぷりと与えるようにします。

【特集4】カラーリーフのグラス類

 グラス類の人気が高まっています。これまでは日本原産のススキや南アメリカ原産のパンパスグラスくらいしか作られていませんでしたが、葉色の変わった種類が出回り始め、庭や寄せ植えに使われるようになりました。

<グラス類の栽培ポイント>

植え場所
日当たりのよい排水のよい適湿地。
植え付け方法
適期は春か秋。ポットから抜き、根鉢を1/3〜1/2ほどほぐして植えつけます。
施肥と水やり
施肥は春先にマグアンプKなどの固形肥料をひとつまみほど根元にばら撒けばよいでしょう。水やりは植え付けた年は、1週間以上日照りが続いたときに、様子を見ながら(葉がしおれ加減になったら)、与えます。2年目以降は原則不要です。鉢植えの場合は、土が乾いてきたら与えるようにします。
そのほか
繁殖力が強いので、株が広がったら困る場合は、プラスティック板(30cm深さ)で根を囲んで外に伸びないようにしておきます。

【特集5】宿根草や熱帯花木の挿し芽・挿し木

 残暑がひと段落すると、挿し芽・挿し木の時期です。宿根草類や熱帯花木の伸びすぎた枝や茂りすぎた枝は、切り取って挿してふやしましょう。また、ニューギニア・インパチエンスポーチュラカなど寒さに弱い宿根草は、秋に挿し芽した苗で越冬させると、場所をとらず便利です。

<挿し芽・挿し木できる種類>

 ユリオプシス・デージー、マーガレット、木立ベゴニア、ゼラニウム、ストレプトカーパス、トラディスカンチア、ヘリオトロープ、ニューギニア・インパチエンス、クジャクサボテン、ハイビスカス、フクシア、ハーブのミント類、タイム類、セージ類、マジョラム、ラベンダー類、ローズマリーなど

<挿し芽の仕方>

用土
清潔な川砂、バーミキュライト、鹿沼土など
挿し床
駄温の平鉢、イチゴパック(底に水抜きの穴を開ける)
穂木の調整と水揚げ
切り口を刃の鋭いナイフやカミソリで切り戻し、穂木の長さを7、8センチに調節します。茎の下1/3ほどの葉を切り除き、1時間ほど水を入れたコップなどに挿して水揚げします。
挿し方
箸などで穴を開けてから、穂木を1/4〜1/3挿しこみ、元を指で押さえます。
挿し芽後の管理
細かめのジョウロで、たっぷりと水やりし、あとは強い風の当たらない半日陰のところで管理します。挿し床の表面が乾きかけてきたら、細かめのジョウロで水やりします。早いものなら2、3週間、遅いものでも1か月半ほどで発根します。
発根後の管理
新しく芽が動いてきたら、根が出ていることを確かめ(根元の土を少し掘ってみる)、薄い液肥(規定の2倍)を与えます。冬はそのままの鉢で冬越しさせます。寒さに弱い種類は室内で、寒さに強い種類も、風の当たらないところで保護したほうがよいでしょう。

【特集6】イベント情報

県名 イベント名 期間・場所・連絡先
東京 武相華道展 期間:8月29日〜9月4日
場所:町田市・小田急百貨店町田店
池坊展 東京華展 期間:9月12日〜17日
場所:中央区・日本橋三越本店
TEL:075-231-4922
FDAフラワーデコレーター
グランプリ2012
期間:9月22日
場所:千代田区・東京国際フォーラム
TEL:03-5391-1831
全国都市緑化フェアTOKYO
「緑の風がふきぬける東京」
期間:9月29日〜10月28日
場所:都内各地
TEL:03-5320-5339
URL:http://greeneryfair-tokyo.jp/
丸の内仲通りガーデニングショー 期間:9月29日〜10月14日
場所:千代田区・丸の内仲通り一帯
TEL:03-3265-8300
URL:http://www.mn-garden.com/
北海道 北海道ガーデンショー 期間:6月2日〜10月8日
場所:清水町・十勝千年の森
TEL:0156-63-3400
URL:http://www.hgs.co.jp/
千葉 伝統の朝顔 期間:7月31日〜9月2日
場所:佐倉市・国立歴史民俗博物館
TEL:043-486-0123
新潟 大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ
期間:7月29日〜9月17日
場所:十日町市・津南町
TEL:025-595-6688
URL:http://www.echigo-tsumari.jp/
富山 オランダ花めぐり
〜オランダの夏〜
期間:6月22日〜9月18日
場所:富山県砺波市・チューリップ四季彩館
TEL:0763-33-7716
2012となみカンナフェスティバル 期間:8月1日〜9月9日
場所:富山県砺波市・チューリップ四季彩館
TEL:0763-33-7716
静岡 大温室 エキゾチックガーデン 期間:5月26日〜9月17日
場所:浜松市・はままつフラワーパーク
TEL:053-487-0511
大阪 プリザーブドフラワー作品展 期間:9月11日〜17日
場所:大阪府大阪市・花と緑と自然の
情報センター
TEL:06-6694-8788
いけばな新進作家展 期間:9月15日〜23日
大阪市・大丸心斎橋店北館
未生流展「いけばな継ぎ 紡ぐ」 期間:9月26日〜10月1日
場所:大阪市・阪神百貨店梅田本店
TEL:06-6353-5281
兵庫 ダリア展 期間:9月22日〜10月21日
場所:加西市・兵庫県立フラワーセンター
TEL:0790-47-1182
URL:http://www.flower-center.pref.hyogo.jp/
長崎 ガーデニングワールドカップフラワーショー 期間:9月29日〜10月8日
場所:佐世保市・ハウステンボス
TEL:0790-47-1182
URL:http://www.huistenbosch.co.jp/