日本園芸協会〜園芸情報サイト

季節の園芸作業

[6月の庭園仕事]

 5月初旬は涼しい日もありましたが、気持ちの良い陽射しと十分な温かさのある日が続きました。だんだん蒸し暑くなってきました。梅雨を迎えると病害虫が発生しやすくなりますので、気をつけてまいりましょう。

【特集1】買い物情報

サルビア ‘パープルプリンス’(Salvia lyrata)

 北アメリカ原産のシソ科の多年草です。サルビアというと連想する赤花のものとはかなり形が違い、花が目立たない独特の草姿をしています。濃い紫色の葉は、花が咲いていない時期でもカラーリーフプランツとして利用できます。
 日当りが良い場所で水はけの良い土を好み、耐暑性も耐寒性も強いので、育てやすく、花壇でも鉢でも育てることができます。水やりは、土が乾いてからたっぷりと与えます。こぼれ種でふえていきます。


サルビア‘パープルプリンス’
▲サルビア‘パープルプリンス’
緑〜紫色のロゼット上の葉から花茎がのびます。
サルビア‘パープルプリンス’花
▲サルビア‘パープルプリンス’花
花というよりがくのようでかわっています。

リクニス・ハーゲアナ(Lycnis ×haageana)

 エゾセンノウとガンピの交配種とされているナデシコ科の多年草です。鮮やかなくっきりとした花が、銅葉に対して鮮やかに映えて、寄せ植えや花壇を明るく演出してくれます。
 耐暑性、耐寒性があり、比較的丈夫なので、花壇でも鉢植え、寄せ植えにも使えます。日当りがよい場所を好み、乾燥に少し弱いので水切れに注意します。

リクニス・ハーゲアナ
▲リクニス・ハーゲアナ
銅葉とのコントラストで花色が非常に鮮やかです。
リクニス・ハーゲアナ花
▲リクニス・ハーゲアナ花
一枚の花弁に深めの切れ込みが入っています。

カカリア(Emilia sagittata)

 インドなど熱帯原産のキク科の一年草です。オレンジだけでなく、赤や黄色の花色の品種もあります。細い茎の先端に、小さな花が集まってひとつの丸いボタンのような形の花をポンポンと咲かせます。この花の形がカーテンタッセルの形に似ているので、英名は「タッセルフラワー」といいます。丈夫な性質なので、花壇でも鉢植えでも育てやすく、こぼれ種で増えていきます。
 早春に花壇やプランターに種子を直接まいて、発芽後間引きながら育てます。日当りの良い場所で、水はけのよい土を好みます。乾燥には比較的強いので、過湿に注意します。土が乾いたらたっぷりと水やりをします。

カカリア
▲カカリア
細い茎で繊細なイメージですが比較的丈夫です。
カカリア花
▲カカリア花
小さい花が集まって丸いボタンのよう。
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【特集2】季節の手入れポイント

花壇・ガーデニング
 雨が多いこの時期は、庭に出る機会も少なくなります。花壇では、アブラムシやヨトウムシ類などの害虫類、うどんこ病や灰色かび病などの病気が多い時期ですから、雨がやんだときは見回りが欠かせません。雨が続きそうで薬剤を散布できないときは、害虫類は手や箸でつまんで退治し、病気が広がっている葉は摘み取るだけでも、効果があります。
<花木・庭木>
 春に伸び出した芽の勢いが止まる時期で、常緑樹などは移植や植付けができます。庭の模様替えを考えられている方は、今月中に行ないましょう。
 キョウチクトウやキンシバイ、アベリア類、ムクゲ、フヨウ、ザクロなど夏咲きの花木は、今年伸びた枝に蕾ができ花を咲かせますので、今の時期に枝先を切るのは禁物です。
 ナツツバキ・ヒメシャラ、ライラックは花が終わったら花がらを摘みます。基本的に自然樹形で育てますので、夏場は徒長枝の切り詰めや込みすぎた枝を間引く程度にとどめます。サツキは花が終わったらすぐに刈りこみましょう。ただし、あまり強く刈りこみますと、翌年の花付きが悪くなりますので、刈りこみは去年の枝の元ぐらいにとどめます。
花鉢物
 春に入手したレケナルティア(初恋草)、ボロニア、ホワイトツリー、エリカ、クリアンツス、グレビレア、サザンクロス、スカエボラなどオーストラリアや南アフリカ原産の鉢物は、これからが栽培の難しい時期になります。もともと乾燥気味のところが原産ですから、高温多湿を嫌い、長雨に当てると、過湿になって根腐れを起こしがちです。これからの雨の多い時期は、軒下などに置き、雨が当たらないようにしてやりましょう。
家庭菜園・ハーブ
 そろそろ、早めに植えたキュウリやナス、ピーマン、トマトなど果菜類の収穫が始まるころです。ただ、最初の2、3果は熟させずに若もぎしてやると、株の負担が少なくなり、その後の生育が順調で、収穫が多く楽しめるようになります。
 植えつけはニガウリ、オクラ、夏キュウリ(ポット苗)、種子では、エンツァイやモロヘイヤ、ツルムラサキなど暖地性種がまき時です。
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【特集3】夏向きの草花類

 暑い夏に長く咲き続けてくれる貴重な草花類を紹介します。

ニチニチソウ(キョウチクトウ科)
 マダガスカル原産の多年草ですが、寒さに弱いので、園芸上は一年草扱いされています。日当たりと乾燥を好み、痩せ地にも耐えます。最近は、花が小型のもの、花がスパイラルになるものや、パステル調の花色のものなど品種が多くなりました。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。

ポーチュラカ(スベリヒユ科)
 熱帯アメリカ原産といわれる耐暑性の強い宿根草。強健で高温・乾燥に強く、日当たりで元気よく育ってくれます。肥料は月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。ただ、寒さには弱いので、秋早めに挿し芽で苗を作って室内で越冬させます。

インパチエンス(ツリフネソウ科)
 小型で日当たりにも耐えるアフリカホウセンカと、大型で半日陰向きのニューギニアインパチエンスがあります。どちらも、水切れに弱いので、注意しましょう。アフリカホウセンカは花壇植えもでき、八重咲き品種も出回っています。ニューギニアインパチエンスはやや高温に弱い面がありますので、通風のよい場所に置きます。肥料は8月を除き、月1回固形肥料を小量施せばよいでしょう。

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【特集4】育てやすい食虫植物

 植物なのに、虫を捕らえて栄養源にしている食虫植物。その習性の面白さや変わった姿から、注目される存在です。なぜか夏に近づくと食虫植物の仲間が出回ります。その中でも、入手しやすく、育てやすい種類を紹介します。

<食虫植物栽培のポイント>
食虫植物は湿地原産のものが多いので乾燥は禁物。植え土(ミズゴケ)を乾かさないように注意しましょう。また、サラセニア以外は根が強くないので、肥料は避けたほうが無難です。その代わりに、たまに小さな虫をあたえる程度でよいでしょう。逆に、面白いからといってたくさん与えるのは、禁物、葉(捕虫葉)が早く老化します。病虫害は、ナメクジが付きやすいので、見付け次第捕殺します。

サラセニア
サラセニア科の宿根草。北アメリカの東部原産。つぼ型の捕虫葉に落ちた虫を消化して栄養にします。ただ、食虫植物の中では根が発達していますので、特に虫を与えなくても育ちます。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。

ハエトリソウ(ディオネア)
モウセンゴケ科の宿根草。北アメリカ東部原産。二枚貝の貝に似た捕虫葉の中心近くにある3対ほどの毛(感覚毛といいます)に虫が2回触れたら、目にも止まらぬスピードで葉を閉じて虫をとりこにするという、驚くべきメカニズムを備えた狩人です。性質は比較的強く、日当たりのよいところで(真夏は半日陰)、乾かさないようにし(水やり1日1回ほど)。ただ、滞水を嫌いますので、腰水は避けます。植え替えは早春、新しく、できれば太めのミズゴケで植え替えます。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。

サスマタモウセンゴケ
モウセンゴケ科の宿根草。オーストラリア・ニュージーランド原産。モウセンゴケは葉に粘液を出す腺毛が密生し、この葉に触れた虫を絡めとるタイプです。葉先が二又や三叉になり、日本のモウセンゴケよりも背が高くなります。性質は比較的強く、日当たりのよいところで、ミズゴケが乾かないように水やりします。乾きやすい場合は、腰水にしてもよいでしょう。冬、葉が枯れてきたら鉢が凍らない程度のところに取り込み、時々水やりします。繁殖は種子ができないので、葉挿しでふやします。

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【特集5】シャドーガーデンを作りましょう

 建物や塀の陰や樹木の下などの日陰地を利用してシャドーガーデンを作りましょう。日陰地は緑も単調になりやすいので、耐陰性の強い草花類や葉色に変化のあるカラーリーフを多く用いるのが良いですね。朝晩など多少でも日射の入るところや、半日陰地なら多くの種類が利用できます。

<シャドーガーデンに向く種類>

 ・花物  インパチエンス、ツルニチニチソウ、クリスマスローズ、エビネ、スズラン、
 ホトトギス、モナルダ
 ・葉物  コリウス、ラミウム、ヒューケラ、ギボウシ、ハラン、アイビー、レックスベゴニア、
 ポトス

<植え付け前の準備>
 建物の陰などの日陰地は土が湿りがちで、ゼニゴケなどが生えやすいので、土質の改良をしましょう。
 まず、土をよく耕し、堆肥や腐葉土などの有機物を多めに(1uあたり大きめのバケツ2杯)と、苦土石灰(1uあたり一掴みほど)をすきこみます。周囲をレンガなどで囲って、回りの土面よりも少し高くなるようにして、表面をならします。周囲に木が茂っているようなら、枝抜きをして風通りを図ります。

<植え付けと注意>
 丈の高くなる種類(クリスマスローズハランなど)は奥に、丈の低い種類は手前に植えるようにします。株間は15〜20cmほどとっておきます。株数が少ないときは、インパチエンス、ツルニチニチソウ、コリウス、ラミウムなどは、植え付けのときに枝を切り取って挿し芽しておけば、すぐに発根しますので、後から補植すればよいでしょう。
 ハランアイビーは斑入りの品種を選びます。レックスベゴニアポトスは秋になったら掘り上げ室内に移します。

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【特集6】病害虫の防除

 雨で庭に出ることも少なくなり、病害虫の発生を見逃してしまうこともでてきます。病害虫対策は、病気は予防、害虫は早期駆除が原則ですから、心がけましょう。

ケムシ類
 チャドクガが盛りになります。なるべく早めに見つけて、群生しているときに退治しましょう。葉ごと切り取って捕殺するか、スミチオンなどの殺虫剤を散布します。葉裏の卵の痕や脱皮殻もきれいに整理しましょう。サクラやウメ、ハナミズキ、プラタナスなど多くの樹種にアメリカシロヒトリ、ウメケムシなどのケムシ類が、針葉樹でもマツカレハなどのケムシ類が発生します。なるべく発生の初期に発見してスミチオンやディプテレックス乳剤などを散布して退治しましょう。

カキのヘタムシ
 カキの果実が大きくなり始めた初期に落ちてしまうのは、ヘタムシ(カキミガの幼虫)が果実のヘタから侵入して中を食い荒らしたせいです。このヘタムシは5月下旬〜6月と8月の2回発生します。
 対策としては、今の時期に1週間おきに2、3回、スミチオン乳剤かパダン乳剤を散布します。併せてトップジンM水和剤を混合散布すれば炭そ病などの予防もできて、効果的です。

エカキムシ
 ナスターチウムやレモンバーム、ペチュニアなどの葉に、絵を描いているかのように白い線が入っているのは、エカキムシ(ハムグリバエ類の幼虫)の被害です。被害のひどい葉は摘み取って処分し、スミチオン乳剤かオルトラン水和剤を1週間おきに2、3回散布するようにしましょう。被害が大きい場合は黄色の粘着テープ(ハエ取り紙みたいなもの)を低い位置で設置すると、効果があります。粘着テープの入手についてはお近くの農協に問い合わせて見てください。

アブラムシ
 枝葉が茂ってくると、アブラムシの発生も多くなります。アブラムシは発生が少量ならば指でつぶすのがよいのですが、多い場合は殺虫剤(スミチオン、マラソンなど)を散布します。草花類や鉢植えではオルトラン水和剤(鉢物ならば粒剤でよい)やアドマイヤーなどの浸透移行性殺虫剤を散布しましょう。効果は2週間続きますので、月に2回散布すれば万全です。晴れの日が続く場合は、牛乳生のままスプレーしても効果があります(必ず虫の体にかかるように)。

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【特集7】書籍のご案内

葉っぱのかたちから樹木が調べられる原寸大植物図鑑をご紹介します。



『葉っぱでおぼえる樹木』
●日本で見られる身近で代表的な樹木300種を精選!

原寸大で葉っぱの写真を収録した植物図鑑です。 葉の形状を15タイプに分類した表から、植物の名前を簡単に調べることができます。
散策や山歩きで目にする日本の代表的な樹木300種類を収録しています。 あなたも身近にある植物の名前を図鑑を使って調べてみませんか。


■B5判、336ページ ■柏書房
価格:3,400円(税抜)
※送料400円(税抜)
http://www.catalog-shopping.co.jp/shop/shop11/book/happajumoku/index.html



『葉っぱでおぼえる樹木2』
●果樹や薬用の樹木など235種を掲載した第2巻!

山野に自生する国産樹木から、公園などに植栽される外国産樹木まで、計235種を収録した第2巻。 食用の果樹や薬用で植えられる樹木も多く取り上げています。
第1巻とあわせれば、北海道から沖縄まで広く分布する樹木のほとんどが見分けられるようになります。


■B5判、292ページ ■柏書房
価格:3,400円(税抜)
※送料400円(税抜)
http://www.catalog-shopping.co.jp/shop/shop11/book/happajumoku/index.html#02


注文先:日本園芸協会 代理部(日本カタログショッピング)
TEL:0120-22-1128
FAX:0120-161-418
E-mail:info@catalog-shopping.co.jp      

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【特集8】イベント情報

東京
牧野富太郎大泉転居90周年企画展「日々に庭の草花看るたのし〜家族に支えられた歳月〜」 期間:4月23日〜6月26日(火曜日休館)
場所:練馬区・練馬区立牧野記念庭園記念館
TEL:03-6904-6403
URL:http://www.makinoteien.jp/
北海道
札幌市
国営滝野すずらん丘陵公園
パンジー・ビオラCollection 2016
期間:4月23日〜6月19日
チューリップ・すずらんフェスタ
期間:5月21日〜6月12日
お問い合わせ
TEL:011-594-3333
URL:http://www.takinopark.com
栃木
豪華あじさい展 期間:5月10日〜6月5日
場所:栃木市・とちぎ花センター
TEL:0282-55-5775
URL:http://www.florence.jp/
千葉
ローズフェスティバル2016 期間:5月7日〜6月5日
場所:八千代市・京成バラ園
TEL:047-459-0106
URL:http://www.keiseirose.co.jp/garden/index.html
新潟
香りのばらまつり 期間:5月28日〜6月19日
場所:長岡市・国営越後丘陵公園
TEL:0258-47-8001
URL:http://echigo-park.jp
岐阜
春のバラまつり 期間:5月14日〜6月19日
場所:可児市・花フェスタ記念公園
TEL:0574-63-7373
URL:http://www.hanafes.jp/hanafes/
静岡
浜名湖花フェスタ in はままつフラワーパーク 期間:3月19日〜6月12日
場所:浜松市・はままつフラワーパーク
TEL:053-487-0511
URL:http://e-flowerpark.com/
花菖蒲・オリジナルアジサイ展 期間:4月23日〜6月19日
場所:掛川市・加茂荘花鳥園
TEL:0537-26-1211
URL:http://kamoltd.co.jp/cms/
愛知
第9回花市場開放日 期間:6月4日(13時〜16時)
場所:名古屋市・愛知名港花き地方卸売市場
TEL:052-747-8700
URL:http://www.amk.or.jp/
名古屋市
東山動植物園
セントポーリア展
期間:6月7日〜12日
初夏の野生蘭展
期間:6月14日〜19日
お問い合わせ
TEL:06-6694-8788
URL:http://www.higashiyama.city.nagoya.jp/
大阪
京阪園芸ローズフェスタ2016 期間:4月22日〜6月12日
場所:枚方市・京阪園芸
URL:http://keihan-engei.com/
「大阪舞洲ゆり園」開園 期間:5月28日〜7月3日
場所:大阪市・大阪舞洲ゆり園(此花区北港緑地2丁目)
URL:http://yurien.com/
河内長野市
大阪府立花の文化園
バラ「プリンセスオブウェールズ」開花
期間:6月初旬まで
クレマチスが見頃
期間:6月中旬ごろまで
お問い合わせ
TEL:0721-63-8739
URL:http://fululu.jp/
兵庫
ブルガリアローズガーデンショー 期間:5月14日〜6月12日
場所:淡路市・県立淡路夢舞台温室「奇跡の星植物館」
URL:http://kisekinohoshi.jp/
加西市
兵庫県立フラワーセンター
インパチェンス展
期間:5月30日〜7月19日
お問い合わせ
URL:http://www.flower-center.pref.hyogo.jp/
宝塚市
あいあいパーク
デザットプランツフェア
期間:6月18日〜7月24日
お問い合わせ
TEL:0797-82-3570
URL:http://www.aiaipark.co.jp/
高知
ゆりフェスタ2016 in 中村農園 期間:6月12日(一般公開日)
場所:高知市・中村農園 試験農場
TEL:0120-874195
URL:http://www.nfb.co.jp/
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