日本園芸協会
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 園芸ファン通信 VOL.55

年明けから本格的な寒波が到来し、暖冬予報が出 ていたわりには、
意外に寒さが厳しい冬になりそうですね。
ただ植物気象的には、ウメやロウバイなど、
例年よりも1週間ほど開花が早いと ころが多いようです。

■洋ランの手入れ

新春になると、各地で洋ラン展が開かれます。
あなたの愛蘭の具合はいかがですか。
なかなか、プロの栽培株のようにはいかないものですが、
シンビジウムやパフィオペディルムなど
そろそろ蕾が上がってきてくれる頃です。


<花つきの株を入手した場合>
●置き場所
よく日の当たる夜間10℃程度が保てる暖かい場所(暑すぎないように)。
暖房の風の直接当たるところは避けます。
●水やり
水やりは鉢の用土が乾いてから2〜3日後に(週に1、2回程 度)、
室温より少し高めの30度くらいのぬるま湯を湿らす程度与えます。
蕾のある株では暖かい日にシリンジ(噴霧)をしましょう。
●肥料
花の咲いている間は不要。春になって、芽が動いてきてから与えます。


<持ち込み株の管理>
温室があれば別ですが、あまり温度が保てない場合は
高温性のカトレアやファレノプシスなどは花が咲くのが遅くなります。
低温性のシンビジウムやパフィオペディルム、 ノビル系デンドロビウムは蕾があ がってきます。
花茎が折れたり曲がったりしないよう、支柱を立てましょう。
また、空気が乾燥しがちですので、シリンジをマメに行います。


カトレアの原種アメジストグロッサ
カトレアの原種アメジストグロッサ
パフィオペデルムの白花系名花“ハマ・スノー”
パフィオペデルムの白花系名花“ハマ・スノー”
低
温性の洋ランのマスデバリア
低温性の洋ランのマスデバリア
ニューギニア原産のデンドロビウム・ブラクテオサム。
ニューギニア原産のデンドロビウム・ブラクテオサム。
低地産で高温性


■花木・庭木類に寒肥をあげましょう

大きく育った庭木には肥料は必要ないのですが、苗木の間や、
花木類・果樹類には施肥(肥料を与えること)がかかせません。
寒中に、ゆっく り分解されてゆく有機質肥料を与えると、
ちょうど根が動き出す頃に効き出すのです(根は芽より早く活動が始まります)。
雪の積もっている地方では春になり、雪が消えたらすぐに行ないます。

●寒肥に向く肥料の種類
油粕、魚粕、堆肥など。市販の有機固形肥料でもよいです。

●肥料の与え方
樹冠幅いっぱいあたり(枝が遠くに一番伸びているところ)の真下 くらいで、
輪状に深さ20センチほどの溝を掘るか、 3〜40センチほどの壷状の穴を6〜7個掘 り、
肥料を入れて埋め戻します。
前者は低木、後者は高木に向く方法です。
溝や穴を掘る時に根に当ったら、 ハサミなどで根を切っておくようにします。
そうすると、細根が多く 発生するようになり、下枝がよりしっかりするようになり ます

低木向けの輪肥え、高木向けのつぼ肥え
低木向けの輪肥え、高木向けのつぼ肥え

●与える分量
目分量でかまいません。
幹の直径が5センチ以下の樹木なら 50〜150グラムくらい、 それ以上大きくなったものは100〜200グラムくらい、
花木類・果樹類は大きめの数値で、普通の庭木類は小さめの数値を目安にします。


■冬の薬剤散布

冬は樹木類も休眠時期で、石灰硫黄合剤など、多少強い農薬をまい ても影響しないものです。
今、薬剤散布しておけば、今年は病害虫の発生がてきめんに少なくなります。


●冬の薬剤散布の目的
冬の薬剤散布は、マシン(機械)油乳剤と、石灰硫黄合剤を交互に散布し、
退治しにくいカイガラムシ類やハダニ類を防除するものです。
石灰硫黄合剤はウメなどの黒星病、イブキ類のさび病の予防にも効果があります。

●石灰硫黄合剤の希釈と散布の仕方
ビンの石灰硫黄合剤は振るとジュウジュウ と音を立てたりするので、ちょっとこわい気がしますが、
説明書の通り薄めれば大丈夫です。
希釈濃度は散布する樹によって違い、 落葉した樹木には10倍、針葉樹や常緑樹に は3〜40倍程度です。
咲きかけた蕾や動き出した新芽には薬害を起こすこと があるので避けて、幹や葉裏まで丁寧にかけます。
薬液がガラスなどにつくと、白く残って なかなか取れないことがありますので注意 しましょう。

●注意
・石灰 硫黄合剤はアルカリ性が強いので、石灰硫黄合剤の散布後に、
マシン油乳剤などを散布する場合は、1か月程度の間隔をとること。

・石灰硫黄合剤を散布した後は、噴霧器などは、食用酢を1%に薄めて洗い、そ の後によく水洗いすること。

・石灰硫黄合剤はマツ類、ヤツデ、コバノナンテンには薬害を起こすことがある ので注意。

・マシン油乳剤は、マツ類(特にゴヨウマツ)、キャラボク、ヒマラヤスギ、 ツツジ・サツキ類、
ウメには薬害を起こすことがあるので注意。


■季節の手入れポイント

●花壇・ガーデニング
戸外での作業は特にはありません。
空いている花壇があったなら、 天地返ししておきましょう。
シャベルなどで花壇を掘りかえし、 下の土を上に出しほぐして空気にさらします。
寒さや乾風、 日光に当てることで、春からの病害虫の発生を減らすことができま す。

『協 会のホームページ・季節の園芸仕事』 に、今年のガーデニング計画を立てると きに役立つ
「国内・国外の種子・苗の通販業者と外国の園芸の会」の紹介が載っています。ご覧 ください。
http://www.gardening.or.jp/colum/index.html

●花木・庭木
針葉樹、落葉果樹・花木の剪定を年内に行えなかった方は、無理に今月に 行うこと はありません。
厳冬期を避け、2月になってからでよいでしょう。 また、冬の薬剤散布(石灰硫黄 合剤)や寒肥の時期です。

●花鉢物
室内に取り入れた寒さに弱い熱帯花木類や草花類の具合はいかがですか。
落葉性の種類は、枝を切り詰めて、水やりを少なめとし、 常緑性の種類も水は控え めにしましょう。
水やりの基本は、鉢の土が乾いてきてから与えるようにします。
また、アブラムシ、カイガラムシ、ハダニが発生しやすいので注意しましょう。
表側だけでなく、定期的に葉裏や葉の付け根、株元の葉の重なりあっているところを チェックします。
新しく購入した鉢物類で花が次々と咲く種類には、 追肥と花がら摘みをおこないま しょう。

●家庭菜園・ハーブ
家庭菜園は休眠の時期。越冬させている種類も少なくなりましたね。
ホウレンソウやシュンギクなど、ビニルトンネルやべたがけシートをかけて 育てて いるものは、
中でアブラムシなどの病虫害が発生していないか、 時々調べてみましょう。
ま た、ビニルトンネルを利用すれば、ニンジン、コマツナ、カブ、ダイコンなどの種子 がまけます。
今、種子をまけば、春〜初夏にかけて収穫できます。

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