日本園芸協会 日本園芸協会

 園芸ファン通信 VOL.64

明けましておめでとうございます。
今年の冬はここ数年に比べてと相当に厳しい寒さになっているようで、北国では積雪も多い様ですね。
しばらくは、室内園芸を楽しんだり、また、種苗や道具カタログを集めて検討したり、
栽培指導書を読み直しておくのも、園芸の楽しみの一つです。

■戌年の植物

戌年の今年は、「イヌ」の名前のつく植物を集めてみるのも面白いですね。
草花では、イヌサフラン(コルチカム)、イヌハッカ(ハーブのキャットニップ)、オオイヌノフグリがあります。
樹木ではイヌマキイヌツゲイヌガヤイヌシデイヌエンジュイヌブナと、なじみの種類も多くあります。
正直なところ、「イヌ」と付く植物は、ややぱっとしない種類が多いようです(イヌマキ、イヌツゲは例外)。
「イヌ00」とつけられた名前は、もともとの種類と比べると、一段下がった評価でつけられた場合が多いようです。
犬好きとしては、納得できませんね。

新緑のイヌブナ(神奈川県丹沢)  イヌサフラン(コルチカム)は、夏植え球根で花期は9月。
(写真左:新緑のイヌブナ(神奈川県丹沢)、右:イヌサフラン(コルチカム)は、夏植え球根で花期は9月。)


■洋ランの手入れ 

冬は洋ランの季節です。花がきれいなだけでなく、開花期間が長いのもうれしいですね。そろそろ各地で洋ラン展が開かれはじめます。いろいろと見て歩き、お気に入りの種類をゲットしましょう。

洋ラン展で好みのランを見つけよう(東京ドーム・世界ラン展・日本大賞にて) 
洋ラン展で好みのランを見つけよう(東京ドーム・世界ラン展・日本大賞にて)

イヌサフラン(コルチカム)は、夏植え球根で花期は9月。
マスデバリアは、寒さには比較的強いが 夏の暑さには弱いので、北国や高冷地に向く (写真はM.uniflora)。

<花つきの株を入手した場合>
●置き場所
よく日の当たる夜間10℃程度が保てる暖かい場所(暑すぎないように)。
暖房の風の直接当たるところは避けます。


●水やり
水やりは鉢の用土が乾いてから2、3日後に(週に1、2回程度)、室温より少し高めの30度くらいのぬるま湯を湿らす程度与えます。蕾のある株では暖かい日にシリンジ(噴霧)をしましょう。

●肥料
花の咲いている間は不要。春になって、芽が動いてきてから与えます


<持ち込み株の管理>
温室があれば別ですが、あまり温度が保てない場合は高温性のカトレアやファレノプシスなどは花が咲くのが遅くなります。低温性のシンビジウムやパフィオペディルム、ノビル系デンドロビウムは蕾があがってきます。花茎が折れたり曲がったりしないよう、支柱を立てましょう。また、空気が乾燥しがちですので、シリンジをマメに行います。


■花木・庭木類に寒肥をあげましょう

庭植え樹木の施肥のタイミングは、鉢物類の場合と違って分かりにくいですね。実は、今が樹木の施肥時期なのです。冬の寒い時期に施すので、「寒肥」といいます。大きく育った庭木にはさほど肥料は必要ないのですが、苗木の間や、花木類・果樹類には施肥がかかせません。寒中に、ゆっくり分解されてゆく有機質肥料を与えると、ちょうど根が動き出す頃にききだすのです(根は芽より早く活動が始まります)。雪の積もっている地方では春になり、雪が消えたらすぐに行ないます。

●寒肥に向く肥料の種類
油粕、魚粕、堆肥など。市販の有機固形肥料でもよい。

●肥料の与え方
樹冠幅いっぱいあたり(枝が遠くに一番伸びているところ)の真下くらいで、輪状に深さ20センチほどの溝を掘るか、3、40センチほどの壷状の穴を6、7個掘り、肥料を入れて埋め戻します。前者は低木、後者は高木に向く方法です。溝や穴を掘る時に根に当ったら、ハサミなどで根を切っておくようにします。そうすると、細根が多く発生するようになり、下枝がよりしっかりするようになります。

●与える分量
目分量でかまいません。幹の直径が5センチ以下の樹木なら50〜150グラムくらい、それ以上大きくなったものは100〜200グラムくらい、花木類・果樹類は大きめの数値で、普通の庭木類は小さめの数値を目安にします。


■冬の薬剤散布

冬は樹木類も休眠時期で、石灰硫黄合剤など、多少強い農薬をまいても影響しないものです。今、薬剤散布しておけば、今年は病害虫の発生がてきめんに少なくなります。

●冬の薬剤散布の目的
冬の薬剤散布は、マシン(機械)油乳剤と、石灰硫黄合剤を交互に散布し、退治しにくいカイガラムシ類やハダニ類を防除するものです。石灰硫黄合剤はウメなどの黒星病、イブキ類のさび病の予防にも効果があります。

●石灰硫黄合剤の希釈と散布の仕方
ビンの石灰硫黄合剤は振るとジュウジュウと音を立てたりするので、ちょっとこわい気がしますが、説明書の通り薄めれば大丈夫です。希釈濃度は散布する樹によって違い、落葉した樹木には10倍、針葉樹や常緑樹には3、40倍程度です。咲きかけた蕾や動き出した新芽には薬害を起こすことがあるので避けて、幹や葉裏まで丁寧にかけます。薬液がガラスなどにつくと、白く残ってなかなか取れないことがありますので注意しましょう。

●注意
・石灰硫黄合剤はアルカリ性が強いので、石灰硫黄合剤の散布後に、マシン油乳剤などを散布する場合は、1か月程度の間隔をとること。

・石灰硫黄合剤を散布した後は、噴霧器などは、食用酢を1%に薄めて洗い、その後によく水洗いすること。

・石灰硫黄合剤はマツ類、ヤツデ、コバノナンテンには薬害を起こすことがあるので注意。

・マシン油乳剤は、マツ類(特にゴヨウマツ)、キャラボク、ヒマラヤスギ、ツツジ・サツキ類、ウメには薬害を起こすことがあるので注意。


■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
こう寒いと外の作業は億劫になりますね。ただ、空いている花壇があったなら、ぜひ天地返ししておきましょう。
シャベルなどで花壇を掘りかえし、下の土を上に出しほぐして空気にさらします。
寒さや乾風、日光に当てることで、春からの病害虫の発生を減らすことができます。

*協会のホームページ・季節の園芸作業(正月号)に、今年のガーデニング計画を立てるときに役立つ「国内・国外の種子・苗の通販業者と外国の園芸の会」の紹介が載ります。ご覧くださいませ。

<花木・庭木>
針葉樹、落葉果樹・花木の剪定を年内に行えなかった方は、無理に今月に行うことはありません(モミジ・カエデ類は例外でなるべく早く行います)。厳冬期を避け、2月になってからでよいでしょう。また、冬の薬剤散布(石灰硫黄合剤)や寒肥の時期です。

<花鉢物>
この冬は寒くなるのが早はやかったので、鉢物を取り込み遅れて傷めてしまったかたも、おいでのようです。
寒さにあって葉が黄色くなってコーヒーノキで、葉が落ちてしまった枝は切り詰め、室内の日当たりのよいところに置き、水やり(鉢土が乾いてきたら)のほか、時々葉にシリンジ(噴霧)して、残った葉を大切にします。
ゲッカビジン・クジャクサボテンは、痛むと葉先から凍みてきます(軟化して腐ってくる)。凍みた部分まで切り詰めて、切口に草木灰を塗るようにします。
水やりはひかえめにし、月に1、2回程度です(水切れで葉にしわがよってくるようならもう少し多めに)。
室内に取り入れた鉢物はアブラムシ、カイガラムシ、ハダニが発生しやすいので注意しましょう。
表側だけでなく、定期的に葉裏や葉の付け根、株元の葉の重なりあっているところをチェックします。
また、花が次々と咲く花鉢物には、追肥と花がら摘みをおこないます。


<家庭菜園・ハーブ>
家庭菜園は休眠の時期。越冬させてきた野菜も少なくなりましたね。
ホウレンソウやシュンギクなど、ビニルトンネルやべたがけシートをかけて育てているものは、中でアブラムシなどの病虫害が発生していないか、時々調べてみましょう。
また、ビニルトンネルを利用すれば、ニンジン、コマツナ、カブ、ダイコンなどの種子がまけます。
今、種子をまけば、春〜初夏にかけて収穫できます。



日本園芸協会のホームページには役立つ園芸情報をたくさん掲載しています。
毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。

http://www.gardening.or.jp/colum/index.html

植物に関するいろいろな情報を満載したサイト「植物博物館」です。
植物を鑑賞したり、図鑑のように調べたり、様々な情報を無料で得ることができます。

http://www.horcul.com/top/

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