日本園芸協会 日本園芸協会

 園芸ファン通信 VOL.70

梅雨明けした沖縄・奄美地方と梅雨のない北海道地方を除いては、本格的な梅雨空の日が続き、
西日本では集中豪雨の被害のでている地域もあるようです。お見舞い申し上げます。
梅雨末期には、豪雨が続くことがありますから、今後も注意が必要ですね。

■夏の暑さ、強光線に強い草花

今年の夏は、あまり長くないという予報ですね。でも、梅雨の合間の晴れた日は、結構気温が上がり、直射はやはり強烈です。そろそろ梅雨明けのことを考えないといけないようです。
そこで、今回は、高温と強光線に強い草花とその手入れのポイントを紹介します。

●・コンボルブルス・サバティウス(ヒルガオ科)
地中海地方原産。ブルーカペットという名前で販売されることもあります。
強健で日当たりがよいやや乾き気味のところでよくそだちます。
夏の間は月2回くらい液肥を与えるとよく花を咲かせる。本来は宿根草だが寒さに弱く越冬は5℃以上。


★乾燥に強いコンボルブルス・サバティウス

●ポーチュラカ(ハナスベリヒユ スベリヒユ科)
南アメリカ原産といわれる、強光線と高温が大好きな強健種。
乾燥にも強く、芽先を摘んで挿せばよくふえます。
秋遅くなったら、茎を1/3くらいに切り詰めて明るい室内に移せばで越冬させられます
(秋早めに挿し芽で苗を作ってもよい)。


★新芽を挿せばすぐに発根するポーチュラカ

●ニチニチソウ(キョウチクトウ科)
マダガスカル原産。高温と乾燥に強い強健種。
丈が伸びすぎた株は、2/3から1/2ほど切り詰めれば、新しく吹く芽で姿が整えられます。
これも挿し芽でよくふえます。


★ニチニチソウは伸びすぎたら切りす

●トレニア(ゴマノハグサ科)
南ヨーロッパ原産。ナツスミレの別名があるように、真夏に強い草花です。
ただ、水切れに弱いので、花壇植えでも土が乾いてきたら、たっぷりと水やりします。
日照を好みますが、半日陰程度でもよい。
液肥なら月2回ほど、粒状の緩効性肥料なら月1回ほど与えます。なお、これから花壇苗を植えつける場合は、
なるべく早めに梅雨の間(梅雨明け1週間前くらいまで)に植えつけましょう。


★トレニアは水切れさせないように


■季節の鉢もの・アサガオとホオズキの管理

入谷(東京・台東区)の朝顔市(7月6、7、8日)と、浅草・浅草寺のほおずき市(7月9、10日)は、
東京に夏の到来を告げる風物詩として有名です。 
アサガオもホオズキも本来は真夏の花で、今頃の鉢物は促成で仕立てたものです。
鉢物としての見栄えをよくするために、鉢の大きさよりも株数が多く植えられていますので、そのままにしておくと、
アサガオでは花の数が少なくなったり、花が小さくなったりします。
また、水切れしやすく、葉や蕾、果実が落ちたりすることが多くなります。
できたら、鉢底から長く根が出てくる前に、1、2回り大きな鉢に植え替えてやりましょう。

朝ちょっと早起きし、日が照りつける前に鉢からそっと抜き、新しい鉢に植え直します。
用土は市販の培養土でよく、用土に肥料を混ぜる必要はありません。
行灯(あんどん)仕立てのアサガオには、行灯の外側に一回り大きな行灯を立て、
新しく伸びてきたツルを外側の行灯に誘導するようにします。
植え替えたら、たっぷりと水やりし、その日は半日陰のところに置き、翌日から日のあたる場所に移します。
1週間位したら、小さじいっぱいくらい、マグアンプKなどの緩効性固形肥料を鉢の表面にばらまけばよいでしょう。

ホオズキは多年草です。
秋になって葉が枯れても時々は水やりし、春(3月上旬ころ)に一回り大きな鉢に植えなおしてやれば、
来年も楽しむことができます。



■カキの幼果の落果対策

今年は気候不順のためか、カキの幼果の落果が多かったようです。
改めて、カキの果実の落果の原因を調べてみました。
カキが落果するのは、自然落果とヘタムシ(カキミガの幼虫)の被害によるものがほとんどといわれます。


<自然落果の原因と対策>
自然落果は6月下旬から7月の上旬頃がピークのようで、多くは未受粉(花が受粉しないこと)が原因といわれます。カキは受粉しないと、果実が生育しないで落果することが多くあります。
特に富有や次郎など有力品種は、雌花だけを咲かせ、花粉の出る雄花をつけないのです。
そのため、果成りを安定させるためには、人工受粉をするか、近くに雄花もつける禅師丸や筆柿などを植えることが必要になります。また、強い剪定をした年(新芽が強く伸びて、栄養分が果実に回らない)や葉が茂りすぎて内側の枝に光が入らなくなった場合も、自然落果が多くなります。
また成り年の翌年は自然落果が多くなりがちという面もあります。
毎年、剪定や摘蕾、摘果を適切に行って、成らせすぎを避け、樹勢をコントロールするようにしましょう。

<ヘタムシの被害とその対策>
ヘタムシはカキミガというガの幼虫で、へたの部分から果肉に食い入ります。
ヘタムシの被害を受けた果実は、やがて落果してしまうのですが、ヘタムシは、果実が落果する前に別の果実に移り、次から次へと被害が拡大します。
ヘタムシの被害で落果する場合は、へたは樹上に残り、果実だけが落ちるようです。
ヘタムシは5月下旬〜6月中旬と、7月下旬〜8月中旬の2回発生します。
対策としては、発生時期にそれぞれ2回くらいスミチオンなどの殺虫剤を芽先と果実によく散布するようにします。2回目(夏)に発生したヘタムシはカキの幹の荒皮にもぐって越冬しますので、秋の初めごろに、幹や太枝の荒皮を鎌や鉄板などで削り落としておくと、ヘタムシが越冬できなくなり、発生を抑えることができます。
なお、落下した果実は集めて処分することも必要です。


■ハボタンの種子まき

ご自分で種子をまき、苗を育てると、達成感も増し、ガーデニングにかかる費用もおさえられます。ちょうどこれからがハボタンの種子まきの時期です。ぜひ今年は、夏の種まきに挑戦しましょう。一袋まけば相当苗が作れます。

(1)まき時期 ふつうは7〜8月。寄せ植え用の小苗作りなら9月。
(2)まき床と用土 平鉢に清潔なピートモスとバーミキュライトを等量混合
(3)まき方 鉢全面にばらまきに、覆土は1センチくらい。
(4)発芽までの管理 まき終えたら腰水し、発芽まで管理。
(5)移植 4、5日で発芽する。本葉が出てきたら3センチ間隔で移植し、
1か月後に10〜12センチ間隔で移植。発芽したら、5〜7日おきに液肥を与える。
(6)注意 青虫がついたら、サイアノックス乳剤を散布
(スミチオン乳剤は薬害が出やすいので使わないほうがよい)。


■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
今年は入梅前から雨が多めだったので、夏花壇の草花は徒長ぎみになっているようです。時期的にも病害虫の発生期ですから、晴れ間を見てこまめに見回って、薬剤散布や害虫の捕殺、茂りすぎた枝の剪定をして、夏に備えましょう。また、草花類や花木類の挿し芽・挿し木の適期です。

<花木・庭木>
ツバキ・サザンカ、ウメ、ツツジ・シャクナゲ類などの春咲きの花木類は、これからの時期に来年の花芽が作ります(これを「花芽分化」といいます)。今の時期に枝を切ったり、肥料をやったりすると、この花芽分化のメカニズムが乱されますので避けましょう。木の根元から出た台芽や強く伸びた徒長枝の切り詰めや、特に込みすぎた枝の間引き程度にします。また、病害虫の発生も多い時期です。

<花鉢物>
近梅雨が明けると、厳しい日本の夏が始まります。これまで日当たりに置いていたフクシアや球根ベゴニア、シャコバサボテン、マーガレット、ユーリオプシスデージー、シンビジウムなどは半日陰程度の風通りのよい涼しい場所に移しましょう。

水やりは朝の涼しい時間にたっぷりと与えます。夕方までに土が完全に乾いてしまう場合は、置き場所を変えるか鉢を一回り大きなものに植え直します。

<家庭菜園・ハーブ>
今ナスやトマト、キュウリなど夏野菜の収穫の盛期です。肥切れさせないよう、2〜3週間おきに定期的に追肥をあたえ、根元に土寄せしましょう。また、晴天が続くようになったら、土が乾燥しすぎないように涼しい朝か夕方にたっぷりと水やりします。

ハーブ類は夏の高温多湿を嫌う種類が多いので、茂りすぎた株は枝を切りすかし、ラベンダーなど、花が終わった株は1/2ほど茎を切り戻します。



他にも、日本園芸協会のホームページには役立つ園芸情報をたくさん掲載していま す。
毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。

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植物に関するいろいろな情報を満載したサイト「植物博物館」です。
植物を鑑賞したり、図鑑のように調べたり、様々な情報を無料で得ることができます。

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