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 園芸ファン通信 VOL.73 【10月・11月合併号】

だいぶ涼しくなってきましたね。北の地方では、紅葉前線が平地に下りてきたようです。
全国のイロハモミジの紅葉日を調べてみました。
あなたのお住まいの地方の紅葉の進み具合を調べてみましょう。
旭川10月21日 札幌10月23日 仙台11月15日 新潟11月11日 東京11月28日 
名古屋11月19日 大阪12月3日 松山12月10日 福岡11月19日 鹿児島12月7日
(国立天文台資料より)

■新顔の鉢物3種とその管理

●アロマティカス(Plectranthus amboinicus)
葉に触れるだけで、爽やかな香りが移ってくるハーブの新顔がアロマティカス。インドネシア原産のシソ科ヤマハッカ属で、メキシコなどでは肉料理に使われているそうです。寒さに弱く(7℃くらい)、冬は室内の日の当たる窓辺で、水を控えめにして管理します。「子猫のひたい」という名前もついています。

手で触ると香りが漂ってくるアロマティカス
手で触ると香りが漂ってくるアロマティカス

●カルーナ(ツツジ科 Calluna vulgaris)
ヨーロッパや北アフリカ原産の耐寒性の強い常緑低木。もともと古くから日本にも入っているものですが、最近、新しい改良品種の導入が多くなっています。もともとは夏咲きですが、今頃の時期にも花が咲くようです。栽培は、日当たりのよいところで多湿にならないように注意します(特に夏場)。用土は、腐植質の多い軽めの酸性土壌を好みます。

耐寒性が強いカルーナ
耐寒性が強いカルーナ


●ブルーキャッツアイ(ゴマノハグサ科 Otacanthus caeruleus)
南アメリカ、オーストラリア原産の半耐寒性多年草。紫色に花芯の白が印象的で、秋の鉢物として人気が出てきました。日当たりのよい場所で多湿に注意して管理します(特に夏場)。冬は明るい室内。

秋の鉢物として定着したブルーキャッツアイ
秋の鉢物として定着したブルーキャッツアイ

■秋の山野草

菊秋が深まってから花を咲かせてくれる山野草類を紹介します。
ガーデンセンターや山野草の展示即売会で、入手することができるはずです。

●ダイモンジソウ(ユキノシタ科) 
“大”の字に似た可愛らしい小花を多数つける。花色は白色が基本だが、桃色や紅色の花色のものや八重咲き、フリンジ咲きの品種も作られている。置き場は半日陰がよく、水切れさせないように注意。植え替えは毎年4月。

●ヤマラッキョウ(ユリ科) 
小型で可愛らしいネギ(アリウム)の仲間。
寒さに強く、日当たりと通風を好むので1年中、棚上で管理する。排水のよい用土にやや密植気味にするとよい。植え替えは2年に1回(春か秋)。イトラッキョウ類も同様に育てられる。

●ノギク類(キク科) 
日本の野生キクの中でもノジギク類、コハマギク、ダルマギク(エゾギク属)などは、可憐な花に小型の草姿で人気がある。5〜6月に挿し芽をして、小鉢で仕立てるとよい。管理は1年中日当たりと通風のよい棚上で。夏は鉢が小さいので水切れさせないように注意する。

●新しく入手した鉢の管理 
ポット植えの花付き株を入手した場合は、花が終わってからか、早春に山草鉢などに植え直す。春までは肥料は不要、水やりは鉢の土が乾いてきたら行う。

<秋の山野草の管理>

●置き場所
シダ類やカンアオイ類など日陰を好むもの以外は、日当たりで管理します。テンナンショウ類など葉が枯れた種類は、棚下に移します。

●水やり
これから活動を始める球根類もあれば、そろそろ葉が枯れだして休眠に入る株もあります。前者はたっぷりと水やりするようにし、後者は土の乾き具合を確かめながら、水やりの間隔をあけるようにします。

●施肥
気温も安定し肥料の効果が上がる時期です。地上部の残っているものや生育を始めた球根類などには、ハイポネックスなどの液肥でも固形肥料でもよいのですが、リン酸とカリ中心の肥料を与えましょう。草木灰なども効果があります。

●病害虫防除
アブラムシやイモムシ・ケムシ類の発生があります。また、休眠に入った株を棚下などに取り込む場合は、鉢裏などにナメクジが付いていないかよくチェックしてから行います。


■キク苗の植え付け

菊花展などで豪華に咲き誇るキクを見ると、自分でも咲かせてみたくなりますね。
売店が同設されていたら、気に入った品種の苗を求めるのがよいですね。

さて、今の時期に販売されているキク苗は、9月ごろに挿し芽された「秋苗」です。
入手したらなるべく早めに鉢に植えつけます。



(1)鉢と用土
鉢は4.5〜5号鉢程度の駄温鉢でよいでしょう。 用土は、市販のキク培養土か、赤玉土に堆肥を4割くらい混ぜたもの。
(2)苗の植え方
苗に花が咲いている場合は摘み取り、蕾が小さな場合や、わき枝の蕾は残します。
これは、花を咲かせてしまうと株の勢いが弱るからで、蕾を残すのは、その方が根が活発に活動するからです。
根元に近い葉を3、4枚摘み取り、その部分まで埋まるくらいの深植えにします。
こうすると、埋めた葉のところから出た新芽に根が生えるからです(春になったらこの芽を分けます)。
(3)置き場所
霜と寒風のあたらない陽だまりで春まで管理します。
寒さの厳しい地域では、無加温のフレームにいれるのがベストです。

*菊花展情報が協会のホームページ「季節の庭園仕事」に載っています。ご覧ください。


■マツのもみ上げと庭木の手入れ

マツ類のもみ上げは9月から3月まで行えますが、正月をすっきりとした姿で迎えるためには、今の時期までに行いたいものです。ヒバ類も、やはり今の時期が手入れの好期です。

<マツのもみ上げの方法>
(1)込みすぎた部分の枝や枯れ枝をはさみで切り落として樹形を整える
(2)枝先の古い葉(去年でた葉)を手でむしりとってすっきりさせる   
・クロマツは下に垂れている古葉を全て取る(横向き以上の葉を残す)   
・アカマツは垂れ葉を少し残してしなやかな感じ   
・ゴヨウマツは古葉も多少残して葉群をこんもりさせる
このもみ上げは、手袋をして行うと手にヤニがつかないですみます。はさみで葉先を切るのは禁物です。  




<ヒバ類の手入れの方法>
(1)葉のかたまりごと掌ではさんで軽くもみ、古葉をおとす
(2)長く伸びた枝、垂れすぎた枝や立ち枝をはさみで切り取る
(3)葉先を丸い感じやイチョウ形に整える
面倒だからといって、葉先をばっさりとはさみで刈りこむ方法は禁物です。葉先が赤茶けて見苦しくなります。

■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
秋花壇が盛りの時期ですが、そろそろ冬春花壇の準備をしましょう。ただ、パンジーやビオラ、キンギョソウなどの品種が出揃っていないところもありますので、あらかじめ品揃えを調べておきましょう。
冬花壇の草花のうち、パンジーやビオラ、デージー、ハボタンは耐寒性が強いので、根付いてしまえば多少霜が降りても大丈夫ですが、スイ―トアリッサムやクリサンセマム・ムルチコーレはやや寒さに弱いので、霜よけや風除けを作るか、軒下に花壇やコンテナに植えるのがよいでしょう。
球根は、まだ植えられます。ユリやスイセンの植え付けはこれからが適期といえます。

<花木・庭木>
今年の秋バラの咲き具合はいかがですか。気温の日交差が大きい秋は、春と比べて、色彩がより鮮やかに咲いてくれます。ただ、病害虫が出やすい時期ですので、気をつけましょう。昼と夜の温度差が大きいと出やすいうどんこ病(ミラネシン、トリフミン)、雨が多いと被害が広がる黒点病(ダコニール、サプロール)には、降雨の前後に薬剤散布を行いたいものです。また、害虫ではアブラムシ(オルトラン)、ハダニ(ケルセン、オサダン)の防除も必要です。また、花が終わったら、花がら摘みを行いましょう。
そろそろ落葉の花木・果樹の植えつけの時期に入ります。ウメモドキ、オオデマリ、ガマズミ類、モクレン・コブシ類、カエデ、ボケ、カイドウ、サクラ類、果樹ではウメ、モモ、リンゴ、ナシ、クリ、カキ、ブドウなどが植え時です。 また、庭木の手入れで、マツ類のコモまきは寒くなる前に行います(マツケムシが降りてくる前)。生垣の止め刈りを済ませていない方は早めに行いましょう。

<花鉢物・観葉植物>
昼間は温かくても、夜の気温はだいぶ下がってきています。寒さに弱い熱帯性の鉢植え類は、早めに取り込むようにしましょう。 ただ、花が咲くのに低温の必要なクンシランやシンビジウム、デンドロビウムは、霜が降りだす前までは戸外の日当たりのよい場所で管理します。
外が冬景色になってくると、室内鉢物の出番ですね。定番のシクラメンにプリムラ類、花期の長いシンビジウムやデンドロビウムなどの洋ラン類、クリスマスに欠かせないポインセチアやクリスマスカクタス(シャコバサボテン)、クリスマスベゴニアなどが出始めています。良質の株を入手することが、鉢物を長持ちさせる秘訣です。

<家庭菜園・ハーブ>
秋野菜の収穫の盛りです。ハクサイやキャベツ、ブロッコリー、ホウレンソウ、シュンギク、レタス、ニンジンなどは、大きく育ってきたものから収穫しましょう。あまった野菜類は土寄せをすれば、しばらく保てます。また、ホウレンソウやコマツナなどには霜よけをつくってやりましょう。また、サツマイモの収穫は霜が降りる前の晴れた日に行います。
ハーブでは、センテッドゼラニウムやヘリオトロープは室内に取り込み、半耐寒性のレモングラスやナスターチウム、メキシカンセージなど亜熱帯性のセージ類は、早霜などで傷めないようにひさしの下などに移しておきます。



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