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 園芸ファン通信 VOL.76 【2月号】

今年の冬は、このまま暖冬のまま、終わってくれるのでしょうか。
北の地方でも積雪が少ないようですね。
生活にはよいのですが、スキー場や雪祭りでは雪不足で困っているところもあるようです。
庭では早咲きの球根類が咲きだしてきています。春の作業の準備は早めに済ませるようにしましょう。


■特集1 「春を先取り・大輪系エリカ」の育て方、楽しみ方

■特集2 「可憐な原種系スイセン」の魅力を紹介

■特集3 「バラの冬季剪定の時期です」この手入れで1年が決まります

■特集4 「長持ちさせる花鉢物の管理」アザレア、シクラメン、プリムラ類ほか

■特集5 「季節の手入れポイント」今の園芸作業を紹介

■春を先取り・大輪系エリカ

春先の鉢物として定番のエリカ(Erica)の仲間。筒・鐘状の可憐な花が人気を呼んでいます。
エリカはツツジ科の常緑低木で、ヨーロッパ原産の小輪系の系統と、花色が鮮やかで小〜大輪系まであるな南アフリカ原産の系統があります。
今回紹介するエリカは、大輪の南アフリカの系統です。
夏の高温多湿に弱いので、夏はやや乾かしぎみに管理するのがポイントです。


エリカ・アビエティナ●エリカ・アビエティナ(E.abretina)
分枝力が強くよく茂ります。花が終わったら、茎を半分くらいに間引き(先も詰める)、通風をよくするようにします。


エリカ・パターソニア●エリカ・エリカ・パターソニア(E.patersonia)
直立性の性質です。そのまま伸ばすと丈が長くなるので、花後の切りつめは欠かせません。

エリカ・クリスマスパレード●エリカ・クリスマスパレード(E.×hiemalis)
来歴不明の交配種で、南アフリカの系統と考えられています。花期が長く、初夏まで楽しめます。



<栽培の注意点>

暑さと寒さを避ける 冬は0℃くらいが保てる日当たりで、強い霜には当たらないところ。
夏は雨のあたらない風通しのよい涼しいところで、水やりは少なめに。

多湿と乾燥は厳禁! 多湿も乾燥も嫌います。
水はけのよい用土で、土の表面が乾いてきてからたっぷりと水やりするのが基本。
低温の場合は、さらに1日おいてから。

肥料は少なめ 多肥は禁物です。
春(花後)と秋に緩効性の固形肥料を一つまみほど与える程度でよいでしょう。

花後に挿し木を 挿し木が簡単です。
花後に枝を7、8cmほどに切って清潔な鹿沼土に挿せば1〜2か月で発根します(秋挿しもできます)。

■可憐な原種系スイセン

ヨーロッパやアメリカと比べると、日本ではスイセンの良さがなかなか認められてきていないのが残念ですね。
今回は、山野草としての味わいあふれる小型の原種スイセンの仲間を紹介します。
大きなガーデンセンターや園芸フェアで入手できます。


スイセン・バルボコジューム●スイセン・バルボコディウム
イベリア半島、南フランス、北アフリカ原産の小型スイセン。育てやすい強健種。


スイセン・ジェレミー●スイセン「ジェレミー」
バルボコディウムとよく似たカンタブリクスの交配種です。色はやや薄くなることが多いようです。


<原種系のスイセンの栽培>

○置き場所 強い風の当たらない日当たりのよいところ。葉が枯れたら雨のあたらない棚下などに移す。

○水やり 葉のあるあいだは土が乾いてきたらたっぷりと。
葉が枯れたら秋まで水やりを控えめする(月に1、2回程度)。
秋になったら、水やりを始め(週に1回程度、土が乾いてきたら)、芽が出てきたら多少、多めにする

○肥料 芽が出てきたら、緩効性の固形肥料を一つまみほど与え、花後に追肥(緩効性固形肥料か液肥)する。

○植替え 休眠期の夏が適期で、2年に1回くらい。 

■バラの冬季剪定の時期です

バラの冬季剪定の時期です。
時期は休眠中ならばいつでもよいのですが、2月内に済ませるのがベストのようです
(寒さの厳しい地方では3月一杯くらい)。



<H・T系・イングリッシュローズの剪定の仕方>


(1)まず、枯れ枝、病害虫の被害の残っている枝を元から切り落とす。
(2)鉛筆より細い枝と、逆に太くても軟らかいしまりのない枝、3、4年経た古い元気のない幹を元から切り落とす。
(3)内側に伸びている懐枝や込みすぎているところの枝、枝と枝が交差しているところの枝を整理する。
(4)幹は、去年の春に伸びた部分を10〜15センチ残して切り詰める。
(5)切り詰めるときは、外側に付いている丸くて大きな、まだ固く締まっている芽のところから、7、8ミリ上で株の内側に斜めに切り落とす。すでに動き出している芽はえらばない。
(6)幹は、同じ長さに揃えるのではなく、多少段をつけるようにすると、花が咲いたときにきれいに見える。
イングリッシュローズやオールドローズやフロリバンダ系は、やや幹を多く、枝を長く残すように剪定するのがポイントです。

<ツルバラ(大輪系)の剪定と誘引の仕方>


(1)枯れ枝や小枝、細枝を切り取り、ツルの先を3、40センチ切り詰める(充実した外芽<外側に向いた芽>の上で切る)。
(2)古いツル(3年め以前の枝)は花を付けにくいので、不要な古いツルは元からノコギリで切り落とす。古いツルから、元気よく新しい枝が伸びている場合は、その新しい枝のところまで切り戻す。
(3)残したツルの小枝は2、3芽残して切り詰める。
(4)残したツルをなるべく水平になるように誘引し、紐で固定する。
(5)ツルとツルはなるべく交差しないように配置し、ツルの上下の間隔は30センチくらい取る。  中・小輪系は、古いツルにもよく花をつけるので、無理に切り取ることはありません。ほかは、大輪系と同じです。  


<寒肥を施しましょう>

バラは肥料を必要とする樹種です。バラに寒肥(元肥)を施していない場合は、なるべく早めに施しましょう。
1株当り油粕、骨粉、過燐酸石灰各300gを牛糞(15リットルくらい)に混ぜ、株元から4、50センチ離して溝を掘り土に混ぜ込みます。これはツルバラの場合も、H・T系の場合も同じです。 

■長持ちさせる花鉢物の管理

冬の室内を明るく飾ってくれた花鉢物は、これからの手入れしだいで楽しめる期間が違ってきます。

●アザレア 花が咲き始めたら、つぼみの殻を始末し、花がしぼんだら、こまめに根元から摘み取ります。花がらを残しておくとカビが生え、病気の元になります。水やりは葉や花にかけないように。

●フリージア 寒風に弱いので外には出さず、室内の日の当たるところで管理。水やりは鉢の表面が乾いてきてから、晴れた日の午前中に行なう。

エラチオールベゴニアは、花が終わった茎から切り戻す。
●エラチオール・ベゴニア 枝先まで花が咲き進んだら、枝を根元近くの2、3節まで切り戻す。切り戻した後、規定の倍に薄めた液肥を10日ごとに与えると、新しく芽が吹き、再び花が咲かきだすようになる。なお、枝を切り詰めると土の乾きが悪くなるので、水やりの代わりに霧吹きで葉水を与えるようにする。

●シネラリア(サイネリア) サイネリアは、花茎を切り戻せばもう1回花を咲くので(ただし、春遅くなってからでは駄目)、株元の脇芽に葉を3、4枚付けて茎を切り戻し、同時に一回り大きな鉢に根鉢を崩さないように植え替える。1週間ほどしたら、10日に1回くらい液肥を与える。カルセオラリアも同様の方法で再生させられます。

プリムラ・オブコニカは葉組みを治すようにする
●シクラメン、プリムラ・オブコニカ 葉組をして、花茎を中心に集め、また大きい葉を外側によせ、光が中に入るようにします。咲き終わった花や黄色くなった葉は、無理に引っ張らず、少し萎れてから、根元をひねって抜き取るようにします。

●追肥と花がら摘み 花が次々と咲き上がってくるタイプの鉢物には、追肥を与えましょう。液肥なら、10日おきくらいです。また、花がら摘みも忘れずに。プリムラ類、シクラメン、マーガレットにはかかせません。

●そのほか ポインセチアは低温と過湿に注意。低温(5、6℃くらい)で越冬させているハイビスカスやブーゲンビレアは落葉しても枝が緑色ならば大丈夫。枯れていないので、7〜10日に1度くらい水やりしましょう。

■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
庭の陽だまりでは、早咲きの球根類が咲き始めます。
クリスマスローズの仲間や寒咲きクロッカスやスノードロップ、スイセンなどが蕾を伸ばしだしますので、枯れ葉などがかぶさっているところは早めに取り除きましょう。
これから、陽が強くなるにつれ、パンジーやロベリアなどの草花は株のボリュームが大きくなります。
隣の株と葉が接するようになったら注意信号。気温が上昇したときに、葉や枝が交差したところが蒸れて枝枯れを起こしやすいのです。
茂りすぎたところは早めに枝を元から整理してやると、枝の更新にもなり、花数も増えてきます。
同時に、花がらを摘み、追肥として、緩効性の固形肥料を2か月に1回与えます。

<花木・庭木>
沖縄からはヒカンザクラの花便りが届き、庭でもロウバイに続き、早咲きのウメが咲き初めてきたようです。
花木・庭木類の寒肥や冬の薬剤散布を済ましていない方は、2月の前半くらいまでに行なうようにしましょう。
落葉樹の剪定を済ませていない方は、3月初旬くらいまでに済ませましょう。

そろそろウメも咲きだします

<花鉢物>
園芸店の装いも、アザレア、プリムラ類、サイネリア、マーガレット、球根類など春の花に変わってきます。
時期的に風が強いことが多いので、店先に長く置かれていた鉢は傷んでいるものがあります。
一度水切れを起こすと、葉に縮れができたり、下葉が黄色くなったりします。
見た目はそれほどダメージを受けているように見えなくても、花の持ちが悪くなることが多いので注意しましょう。

花色がふえてきたマーガレット

<家庭菜園・ハーブ>
家庭菜園はまだ休眠の時期。
土寄せし収穫を遅くしている野菜や、ビニルトンネルやべたがけシートをかけて栽培してきたホウレンソウやシュンギクなども減ってきましたね。
そろそろ、春〜初夏収穫用に、ビニルトンネルを利用して、コマツナ、カブ、ダイコンなどの種子をまきましょう。
2月の中旬になれば、ジャガイモの植え付けができます。
市販の種イモで、まだ芽が動いていないものを早めに入手し、温度の低いところで植え付けまで保管しましょう。



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