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 園芸ファン通信 VOL.77 【3月号】

今年の冬は稀に見る暖冬だったようで、関東近辺ではウメやジンチョウゲの開花が早かったですね。
サクラ(ソメイヨシノ)の開花もだいぶ早いとの予報です。
サクラ(ソメイヨシノ)が咲きだすと、草花類の種子まきや春植え球根の植え付けの時期になります。

【1】春が来た!! ガーデニングがシーズンイン!
・・・春まき草花の種まきと春植え球根の植え付け


【2】鉢物のニューフェース紹介
・・・春の花鉢物の管理


【3】今が花木・果樹・庭木の入手・植え付けの好機!!
・・・よい庭木の選び方


【4】来年も花をたくさん咲かせよう!!
・・・ウメ、ツバキ、サザンカなどの花後の剪定


【5】季節の手入れポイント
・・・花壇・ガーデニング、庭木・花木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

■春が来た!! ガーデニングがシーズンイン
春まき草花の種子まきと春植え球根の植えつけ

この冬は気温が高く、パンジーやクリサンセマムなど冬花壇の花の育ちがよかったですね。
このまま進むと、育ちすぎで花壇が乱れることがありますので、夏花壇の準備も早めたほうがよいようです。
ソメイヨシノが咲くと春のガーデニングシーンも真っ盛り。
草花類の種子まきや春植え球根の植付けの時期になりますので、種子や球根などは早めに手配しておきましょう。
種子まきの目安は低温で発芽するコスモスやアスター、ナスターチウムなどはソメイヨシノが散る頃、もう少し温度が必要なアゲラタムやジニア、ペチュニア類はヤエザクラが咲き始める頃、高温性のサルビアやマリーゴールド、ケイトウ類はヤエザクラが散る頃、アサガオやヒョウタンはさらに10日くらい遅くなります。
球根類では、ダリアやグラジオラス、ゼフィランサスなどは、遅霜の恐れがなくなったら植えつけられます。
アマリリスは少し遅く、ソメイヨシノが咲き出す頃、熱帯性のカンナやジンジャーはヤエザクラが咲き出す頃を目安にしましょう。
春咲きのイエイオンのポット株は、鉢土を壊さないまま、庭の日当たりのよい場所に植え付ければ、手入れなしでそのまま何年も楽しめます。


イエイオンイエイオン
イエイオン(ハナニラ)の新しい種類で、地植え放任でよく育つ。

■花鉢物のニューフェース紹介
春の花鉢物の管理

エレモフィラ・マキュラータ
冬〜春の花鉢物の新顔は、オーストラリアや南アフリカ原産の植物が紹介されることがほとんどのようです。
寒さには比較的強い種類が多いのですが、温室で生産されたものですからいきなり屋外に出すのは避けましょう。とくに春先は風の強い日が多く、水切れさせがちなので注意が必要です。
晴れた暖かい日は風の当らない日溜りに置き、夜間や風の強い日は、暖房の風が直接当たらない室内で保護するのがよいでしょう。これまで、室内で育ててきた鉢も、同様に少しずつ外の空気に慣らしていきます。


エレモフィラ・マキュラータ●エレモフィラ・マキュラータ(Eremophila maculata)
エレモフィラはオーストラリア原産のハマジンチョウ科の常緑小低木です。エレモフィラ属には200種以上あり、薄紫色のニベアが紹介されていますが、今回紹介するのは、エレモフィァ・マキュラータで、花の色には黄色、赤色、桃色などいくつかあるようです。原産地は乾燥地帯ですから、水やりは過湿にならないように鉢土の表面が白く乾いてきてからたっぷりと与えるようにします。水切れにも強くないので、強い乾燥も嫌います。日当たりを好みますが、夏は半日陰の風通りのよい涼しいところ。燐酸肥料を嫌いますので、一般の植物との寄せ植えには向きません。冬は強い霜に当てず、凍らない程度のところで越冬させます。


ボロニア・メガステイグマ●ボロニア・メガステイグマ(Boronia megastigma)
これも、オーストラリア原産のミカン科の常緑小低木です。ボロニア・ロイヤルやブラウンボロニアの名前で販売されることもあります。同じボロニアでもピンナタータとは違い、平開しない鐘形の花型が特徴です。栽培は、エレモフィラと同様でよいものです。花房が咲き終わったら、株元で切り戻すと、次の花房が上がってきます。根の伸びがよいので、花後一回り大きな鉢に植えなおすとよいでしょう。


ワックスフラワー●ワックスフラワー(Chamelaucium uncinatum)
これもオーストラリア原産のフトモモ科の常緑低木です。最近は、丈の低い小鉢仕立てのものが多く出回っています。本来は2mくらいまで伸びるものですが、細長い樹形でバランスが悪くなりがちです。花後に切りつめて、一回り大きな鉢に植えなおすとよいでしょう。


<そのほかの鉢物の管理>

ハーデンベルギア(マメ科)、レシュノルティア(初恋草、クサトベラ科)、ペーパーカスケード(キク科)、エリカ(ツツジ科)などオーストラリア、南アフリカ原産の鉢物は、水のやりすぎに注意。鉢の土が乾きだしてきてから、水やりするようにします。  クンシラン(ヒガンバナ科)はそろそろ、花芽が上がってくる頃、クジャクサボテン(サボテン科)も花芽が作られる頃ですので、日によく当てるようにしましょう。ともに肥料は不要です。

■今が花木・果樹・庭木の入手、植え付けの好機!!
よい庭木の選び方と植え方

彼岸を中心に、各地で植木市が開かれ、ガーデンセンターなどでも売出しが行われます。
落葉果樹や花木は、冬から彼岸頃までが植え付けの時期なのですが、今年は芽出しが早そうですから、植え付けは早めに行なったほうがよさそうです。
ツバキやボタン、バラ、フジ、ツツジ・シャクナゲ類などでは、鉢植えの物を購入し、花が終わったら、庭に植えるようにしてもよいでしょう。  

花木・庭木を入手するときは、なるべく早めに出向いてよい木を選ぶこと。
品種ものは花を確認してから選ぶようにすると、トラブルを避けることができます。
枝ぶりだけでなく、幹の模様や根の張り具合も大切です。しっかりと確かめましょう。  

なお、ツバキなど、何年か鉢植えにしていたものを庭に下ろすときは、根が鉢いっぱいに回って、固く締まっていることがあります。こうした場合は、箸などで突いて土を落とし、根をよくほぐしてから植えるようにします。
この際、多少根が切れてもかまいませんが、その分、枝も多少(1/4くらい)切り落としてバランスをとります。  

なお、1本立ての果樹苗は、幹を4、50センチに切り詰め、支柱を立てて植えつけます。


■来年も花をたくさん咲かせよう!!
ウメ、ツバキ、サザンカなどの花後の剪定

ウメ冬から、春早く咲いてくれた花木類は、花が終わったら剪定をして樹形を整えます。

<ウメ> 
花ウメは、葉芽のある枝は、芽を2、3芽残して枝を切り戻し、葉芽のない枝は、枝の基部を少し残して切り詰めます。実ウメの場合は、花後剪定はせず、そのまま伸ばします。

<ロウバイ> 
自然に樹形が整いますので、原則的に剪定は不要ですが、込みすぎた枝の間引きなどは、花後すぐに行ないます。あまり強い剪定を行なうと、逆に木が暴れて徒長枝を多く出すので注意しましょう。台芽は見つけ次第切り取ります。

ツバキ・サザンカ<ツバキ・サザンカ> 
ツバキは花が終わった木から剪定をします。花が咲いた枝は、来年はよい花をつけませんから、枝の元の方に2葉くらい残して切り詰め、花が咲かなかった枝は来年花が咲きますので、大切にします。ただ、残す枝のバランスを見て、混みすぎるようなら、こうした枝も2、3芽残して切り詰めます。サザンカも同様におこないます。

<コブシ・モクレン類> 
モクレン類は自然樹形で育てる種類です。蕾は枝の先に出ますので、枝を切り詰めると花つきが悪くなる場合があります。込みすぎた枝の間引きは冬の間に、樹高を低くするときの幹の切り詰めは、春の彼岸前後が適期です。

<夏・秋咲き花木の剪定> 
サルスベリやザクロ、アベリア、キョウチクトウ、モクセイ類など夏・秋咲き花木類でまだ手を入れていないものは、芽が伸び出す前に剪定・刈り込みしましょう。

■季節の手入れポイント
花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

<花壇・ガーデニング>
今年はパンジー・ビオラ、クリサンテマム、キンギョソウなどの草花の冬の成長がいいですね。
大きくなった株は、茎の間引きや伸びすぎた枝の切り戻しをしましょう。
また、肥料が切れると、株の勢いが止まり、蕾の上がりが悪くなってしまいます。
新しく咲く花が小さくなったり、次の蕾が上がるまで間があくようになるのは注意信号です。
急ぎのときは、液肥で、余裕のあるときはマグアンプkなどの緩効性固形肥料を追肥しましょう。
花がら摘みも忘れずに行いましょう。

<花木・庭木>
今年は、ロウバイやウメ、サンシュユ、ミツマタ、ジンチョウゲの開花が早かったですね。
花が咲き終わった花木は、早めに剪定をしましょう。
また、お彼岸を中心に各地で植木市が開かれます。
植木市にはなるべく早めに出かけて、よい木を入手するようにしましょう。
また、萌芽が始まると、アブラムシなど害虫類も発生しますからスミチオン、オルトランなどの殺虫剤を散布します。

ユーリオプスデージーは花柄を切り取り、液肥で追肥。

<花鉢物・観葉植物>
マーガレット(白、桃、黄)、ユーリオプスデージーは大鉢が多くなっているようです。
チューリップやラナンキュラス、アネモネなどの球根類が春の気分を高めてくれます。
ハイドランジア、クレマチス、フクシアなどの促成ものも出まわり始めてきました。
いずれも温室で大事に育てられた株ですから、入荷したての鉢を選び、購入したら、強い風の当らない日溜りにおき、霜のおりそうな夜は暖房の風の直接当らない室内や玄関などに取りこみます。

<家庭菜園・ハーブ>
今年は暖かいですから、そろそろ野菜やハーブ類の種子まきができそうです。
3月上中旬からホウレンソウ、カブ、コマツナは露地で、ネギ、パセリはトンネルでまきます。
パセリは本葉1、2枚で移植しましょう。 
ハーブでは、ミント類、レモンバーム、タイム類、ロケット、チャービルの種子がまけます。
平鉢でまき、風の当らない日溜りで管理します。遅霜の心配があるときは室内や軒下に取りこみましょう。  
種子まきは苦手という方は、苗から始めるのがよいですね。
野菜苗は、双葉が黄化せずしっかりついているものを選びましょう。
ハーブ苗も種子からの場合は同様です。
なお、野菜苗もハーブ苗も遅霜の恐れがなくなってから定植します。



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