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 園芸ファン通信 VOL.83

東日本では残暑も一段落ついた感じで、庭の草花も息を吹き返してきているようです。
秋の到着を知らせてくれる花・ススキの便りも届きだしています。
ちなみにススキの平均開花日を調べました。あなたのお住まいの地域での秋の進み具合を調べてみましょう。
函館8月25日 仙台8月19日 新潟8月29日 東京9月5日 名古屋9月7日 大阪9月12日 
松山9月15日 福岡9月21日 鹿児島9月18日 那覇10月8日(国立天文台資料より)。
なお、今年の“中秋の名月”は9月25日になります。ちょっと遅いですね。

■秋咲きの花鉢物の入手と管理法

リンドウ、コスモス、クジャクアスター、シュウメイギク、ジョウロウホトトギスなど、いかにも秋を感じさせてくれる鉢物が出回ってきました。良品は、下葉までよく葉がついていて、しおれたり縮れたりした葉がないものです。

<種類別の管理法>

●リンドウ
日向に置き、水切れに注意。半日陰程度でもよいが、日が当たらないと花が開かないので注意。

鉢植えのリンドウ「福寿盃」

●コスモス
株の大きさの割に小さめの鉢に植えられていることがほとんどなので、入手したら1〜2回り大きめの鉢の植え替えるのがよい。特に1鉢に複数植えされたものは、要注意。日向に置かないと、株が倒れやすい。

コスモスも鉢カバーで雰囲気が変わる

●ミケルマスディージ
ユウゼンギクの仲間で日当たりを好が、半日陰程度でもよい。
株が込んでいる場合は、一回り大きな鉢に植え直すとよい。
高性(背が高い)の場合は、鉢が倒れやすいので、鉢ごと一回り大きな鉢に入れておくと、倒れにくくなる。

●シュウメイギク
強い風の当たらない日向に置き、水切れに注意。やはり、一回り大きな鉢に植え直すとよい。

●ジョウロウホトトギス
半日陰の風通りのよい場所に置き、水切れに注意。
なお、コスモスやミケルマスディージーなど次々に花が咲き続ける種類には、液体肥料を2週に1回追肥します(そのほかの種類には、花の時期には肥料は不要)。
水やりは、鉢土の表面が白く乾いてきてからたっぷりと与えるようにします。


クジャクアスター「ビクトリア」コスモスよりも小型のキバナコスモス「サンセット」

■宿根草や熱帯花木の挿し芽・挿し木

残暑がひと段落すると、挿し芽・挿し木の時期です。
宿根草類や熱帯花木の伸びすぎた枝や茂りすぎた枝は、切り取って挿してふやしましょう。
また、ニューギニア・インパチエンスやポーチュラカなど寒さに弱い宿根草は、
秋に挿し芽した苗で越冬させると、場所をとらず便利です。


<挿し芽・挿し木できる種類>
ユーリオプシス・デージー、マーガレット、木立ベゴニア、ストレプトカーパス、トラディスカンチア、ヘリオトロープ、ニューギニア・インパチエンス、クジャクサボテン、ハイビスカス、フクシア、ハーブのミント類、タイム類、セージ類、マジョラム、ラベンダー類、ローズマリーなど

<挿し芽の仕方>
・用土 清潔な川砂、バーミキュライト、鹿沼土など

・挿し床 駄温の平鉢、イチゴパック(底に水抜きの穴を開ける)

・穂木の調整と水揚げ 切り口を刃の鋭いナイフやカミソリで切り戻し、穂木の長さを7、8センチに調節します。茎の下1/3ほどの葉を切り除き、1時間ほど水を入れたコップなどに差して水揚げします。

・挿し方 箸などで穴を開けてから、穂木を1/4〜1/3挿しこみ、元を指で押えます。

・挿し芽後の管理 細かめのジョウロで、たっぷりと水やりし、あとは強い風の当たらない半日陰のところで管理します。挿し床の表面が乾きかけてきたら、細かめのジョウロで水やりします。早いものなら2、3週間、遅いものでも1か月半ほどで発根します。 発根後の管理 新しく芽が動いてきたら、根が出ていることを確かめ(根元の土を少し掘ってみる)、薄い液肥(規定の2倍)を与えます。冬はそのままの鉢で冬越しさせます。寒さに弱い種類は室内で、寒さに強い種類も、風の当たらないところで保護したほうがよいでしょう。


■ポインセチア・カランコエの短日処理

ポインセチアやカランコエは、普通に管理していたのでは、クリスマスのシーズンに花(や包葉)が咲いてくれないことが多くあります。こうした種類を上手に楽しむためには、短日処理を行うのが確実です。

カランコエもポインセチアもクリスマスに家庭で楽しむ時は短日処理が必要  カランコエもポインセチアもクリスマスに家庭で楽しむ時は短日処理が必要
<短日処理をするわけ>
1日のうちで、夜が長いときを短日といい、逆に昼の長いときを長日といいます。
ポインセチアやカランコエのように、夜の期間が長くなると花を付ける性質の植物を短日性植物といいます。
短日性の植物は、秋になると自然に花芽をつけるのですが、建物の照明や街路灯などの光があると短日の条件にならず、クリスマスまでにうまく色ずいてくれないことがあります。
そこで、人工的に光を遮断して確実に短日状態にすることが必要になります。


<短日処理の方法>
夕方の5時から朝の9時くらいまでの間、株がすんなり入る程度の大きいダンボールをかぶせて光を遮断します。
これを毎日繰り返します。

ポインセチアでは1か月から1か月半もすると、花芽ができ、包葉が色づいてきます。
そうしたら、もう、光に当ててかまいません。 なお、あまり株が大きいとダンボールをかぶせにくくなるので、初夏に挿し芽をして株を更新し、その株を育てて8月中下旬に摘芯をして枝を出させるようにすると手ごろな大きさに仕上がります。

カランコエの短日処理は1か月くらいでよく、今の時期に短日処理をすれば、クリスマスころに花を咲かせることができます。

■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
そろそろ秋のガーデニングがシーズンインです。秋花壇をこれから作るなら、ジニアやサルビア、マリーゴールド、コスモスなど秋遅くまで咲き続けてくれる種類を選びましょう。
また、来年の春花壇を考える時期です。最近はナチュラルガーデンニにチューリップやスイセンなどの球根類を取り入れる方が多くなっているようです。
チューリップならアクミナタやユリ咲きのやさしい草姿のもの、スイセンならばジョンキラやキクラミネウス、トリアンドロスなどの原種系が使いやすいですね。
もちろん大輪系でも、1か所に数球ずつ植えるようにすればよいでしょう。

秋の種子まきは、日中の最高気温が25℃以下になったころが目安です(例年ですと、9月15〜20日ごろから)。また、この頃が熱帯花木類や宿根草類、ハーブ類の挿し木・挿し芽ができる時期です

開花時期が長いジニア「プロフュージョン・ホワイト」小型で多花性のジニア・リネアリス
<花木・庭木>
そろそろ本格的な台風シーズンに入ります。
庭や建物などで、補強や手入れの済んでいないところがないか、早めにチェックしておきましょう。
クチナシ類ではオオスカシバの発生期です。
油断すると丸裸にされてしまいますから、スズメバチに似たガが飛んでいたら要注意です。
また、収穫のすんだ果樹類ではお礼肥えを与える時期です。

<花鉢物・観葉植物>
クリスマスローズは秋になると根が動き出します。鉢替えや株分けは早めに済ませましょう。 短日(夜が長くなる)で花芽形成するポットマムやポインセチア、初恋草、カランコエには夜間の照明を避けましょう。
ミヤコワスレやシャコバサボテンも花芽形成時期です。よく日に当てるようにし、水やりを控えめにします。
やはり充実期のノビル系デンドロビウムやオンシジウムも同様の管理です。
夏の間、半日陰に移しておいた鉢物類も、直射日光に弱いもの以外は日向に出すようにします。

<家庭菜園・ハーブ>
今月も秋冬野菜の種まきの時期。シュンギクは10月上旬、ホウレンソウ10月一杯にまけばよいでしょう。
ダイコン、ハクサイ、レタス、キャベツ、ブロッコリーの苗は9月上旬に畑に定植します。
ナス、ピーマン、オクラは中旬に化成肥料を追肥し、土寄せしておきます。
ハーブでも残暑が収まり、気温が25℃以下になったら種子まき、挿し木ができます。
また、花茎の出てきたバジルや夏越しできたナスターチウムは、切り戻ししておきましょう。


他にも、日本園芸協会のホームページには役立つ園芸情報をたくさん掲載しています。
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