日本園芸協会
園芸ファン通信 VOL.91 【5月号】

 ガソリンの暫定税率の復活劇などのドタバタはありましたが、今年のゴールデンウィークは比較的平穏に終わったようです。さて、庭も夏向きに装いを代える時期になりました。夏花壇の準備や夏野菜の植え付けの予定は、早めに立てるようにしましょう。


★今号の記事一覧★
【1】目新しさで人気を呼んでいる新しい花色の鉢物
【2】薬用効果と野趣が楽しめる"山菜ガーデン"を作ろう
【3】ツツジ・サツキの花後の剪定・刈り込み
【4】早期発見!早期駆除!! ツバキ・サザンカのチャドクガ対策
【5】季節の手入れポイント 花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ
【6】イベント情報

目新しさで人気を呼んでいる新しい花色の鉢物

 新導入の植物や新開発の品種など、鉢物の世界は、目まぐるしく動いています。今回は、新しい花色の鉢物を紹介します。

ブルーハイビスカス(アオイ科)

 ハイビスカスの名前が付いていますが、同じアオイ科のアリオギネ属(学名Alyogyne uegelii)の半耐寒性常緑低木。原産オーストラリア。1日花ですが、透明感のある青紫色の花を初夏から秋まで咲き続けます。日当たりを好みますが、夏は風通りの良い涼しいところで管理します。肥料は枝が伸びすぎたら、適当なところで切り詰め、月に2回ほど液肥を与えます。水やりは、土が乾いてきたらたっぷりと与えます。冬は室内の明るいところで、水を控えめにします。

黒花ペラルゴニウム「チョコレート」(フウロソウ科)

 最近、黒色のテッシュペーパーが発売されるなど、黒色のものを目にする機会が多くなりました。ガーデニングの世界でも"ビオラ"や"バラ"では黒花がありますが、今回はペラルゴニウムの黒花品種です。

 "黒"といっても厳密には黒紫ですが、ボリュームがありますので、一鉢飾っておけば異彩を放ちます。性質は一般のペラルゴニウムと同じです。

 冬は霜のあたらない場所で管理します。ゼラニウムと違って一季咲きです。

二色咲きストレプトカーパス(イワタバコ科)

 ストレプトカーパスというと、青や白のイメージがあるのでが、今回は青紫色と黄白色の二色咲き。管理は花がらをまめに摘み、肥料は夏まで月に2回ほど液肥を与えればよいでしょう。半日陰で水を切らさないようにすることがポイント。強い日照を当てると葉が焼けます。冬は室内の明るい半日陰で、水を控えめにします。

▲ブルーハイビスカス

▲黒色ペラルゴニウム
「チョコレート」

▲二色咲きストレプトカーパス

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薬用効果と野趣が楽しめる
"山菜ガーデン"を作ろう

 自生地保護などの問題で山菜摘みができるところが減っているようです。とはいっても、八百屋さんやスーパーマーケットで買うのも味気ないですね。いっそのこと、庭の片隅に、山菜ガーデンをつくってはいかがでしょう。山菜ガーデンは、普通のキッチンガーデンよりも日当たりの少ないところに作れるので、庭がより活用できます。病害虫のない手間のかからない強健山菜を紹介します。

●ギョウジャニンニク(ユリ科)
修験道行者のスタミナ食として知られ、ニンニクに似た風味で人気が高まっている山菜です。新葉を薬味や粕漬け、フライや肉料理の添えに使われます。抗菌力、血行を促進して冷え性の予防、消化酵素の分泌促進などの薬効があるとされます。適地は、水はけの良い有機質の多い肥沃地でやや湿った半日陰地。夏の直射日光のささない風通りのよいところが良いものです。肥料は秋か春に有機配合肥料を少量与えればよいでしょう。

●アシタバ(セリ科)
「今日、葉を摘んでも明日には代わりの葉が生えてくる」と思えるくらい強健で生育のよい常緑の多年草です。新葉を汁の実、揚げ物、お浸しや青汁に使えます。利尿、新陳代謝機能促進の薬効があるとされます。適地は日当たりと水はけのよい有機質の多い土地ですが、半日陰地ややせ地でも育ちます。病害虫はほとんどなく、春と秋に有機配合肥料を一掴みほど与えればよく育ちます。

●ヤマウド(ウコギ科)
野菜として作られる促成のウドよりも香りが良いヤマウド。酢味噌和えが一般的ですが、きんぴらやてんぷらなど広く使えます。疲労回復、滋養強壮、不眠改善などに薬効があるとされます。適地は、日陰〜半日陰のやや湿り気味の有機質の多い土地です。肥料は春と秋に有機配合肥料を一掴みほど与えればよく育ちますが、あまり多肥にしないほうが香りが強くなります。

●クサソテツ(イワデンダ科)
「コゴミ」の名で知られる山菜で、アクが少なく、独特の風味と歯ざわりよさが特徴です。葉の開く前の若芽がゴマ和えや揚げ物にされ、ミネラルが多い健康食として人気が出てきました。適地は半日陰で水はけがよく有機質の多い肥沃地。肥料は秋か春に有機配合肥料を少量与えればよく、ほふく茎でよく繁殖します。

▲山菜3種。左からアシタバ、
ヤマウド、ギョウジャニンニク

 

▲クサソテツ(コゴミ)

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ツツジ・サツキの花後の剪定・刈り込み

 花の咲き終わったツツジ・サツキ・シャクナゲ類の手入れは早めに行いましょう。生垣や玉作りにしているツツジ類の刈り込みは早めに、サツキも、花が終わったらすぐに行ないます。遅くなると来年の花が少なくなります。シャクナゲ類は自然樹形で仕立てます。芽吹きが弱いので、枝を切るのは避けましょう。込みすぎて日陰になっている弱い枝を元から抜く程度です。必要なのは、芽摘みで、1つの節から伸びる芽を全て伸ばすと強い枝にならず、蕾も余りつかなくなります。多数の新芽が伸びてきたら、強い芽を1本か2本残して、残りの芽は元から折り取ります。このとき、粘っこい樹液が指につかないように、薄手のビニル手袋をするかポリ袋などを手にかぶせて作業するとよいですね。

 ツツジ・シャクナゲ類で、葉の緑が部分的に薄くなり、絣模様になるのはスリップス(アザミウマ類)の被害を受けたものです。夏まで月に2回くらい浸透移行性の殺虫剤(オルトランなど)を散布して、防除します。

▲ツツジ「大紫」

 

▲平戸ツツジ

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ツバキ・サザンカのチャドクガ対策

・早期発見・早期駆除がポイント
 これから梅雨どきが、病害虫の要注意時期です。特に気をつけたいのがツバキ・サザンカ、チャにつく毒蛾(チャドクガ)です。卵からかえった直後で、葉の裏にかたまっているうちに退治するようにしましょう。スミチオン乳剤を散布すればよいでしょう。抜け殻や卵の跡なども見つけて始末しないと、風に飛んだりして肌につくとトラブルの元になります。この時期に退治しておかないと、秋(8、9月)にもう一度発生して被害が拡大します。ウメやカリンなどのオビカレハ(ウメケムシ)、サクラなどに多いアメリカシロヒトリなども同じ薬で退治できます。

 害虫で厄介なのがカイガラムシです。ウメの幹に黒い小さなこぶのようにしがみついていたり、マツなどの枝先に白い粉がふいていたりするのはカイガラムシの仲間です。幹についたものは竹ベラなどでこすり取り、枝先についたものにはカルホスやデナポンを5〜6月に月2回ほど散布します。

▲大輪で牡丹咲きのトウツバキ
「ウイリアム・ハートリッチ」

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季節の手入れポイント

 花壇・ガーデニング、花木・庭木、花鉢物・観葉植物、家庭菜園・ハーブ

<花壇・ガーデニング>
今年は春の気温も高かったので、パンジーやロベリアなどの春花壇が長持ちしなかったところが多いようですね。早めに夏花壇に模様替えしましょう。サフィニアやペチュニアなどを植えるときに、込みすぎたところの枝を1、2本ずつ切り取っておいて、挿し芽すれば、今の時期ならば3週間ほどで新しい苗が作れます。

<花木・庭木>
サクラと同様、ツツジ類、ボタン、フジなども例年よりもやや開花が早かったようですね。花が終わったら、お礼肥えや花がら摘み、剪定をしておきましょう。

 これから梅雨前ころまでは、樹木類は枝葉の充実期。常緑樹は剪定をしてもよいのですが、落葉樹は禁物。込みすぎた部分の間引きや徒長枝(勢いよく伸びた枝)の切り詰めなどにとどめましょう。また、病気(予防)や害虫(駆除)の発生時期ですから、薬剤散布の準備をしましょう。

<花鉢物>
花の終わったクンシランは植替え・株分けをしましょう(2、3年おき)。熱帯性の花木や観葉植物なども外に出せる時期になりました。ただ、日陰に置いてあった鉢を急に日向に出すと、葉焼けを起こしますので、段階を追って、徐々に強い光を当てるようにします。また、ハイビスカスやエンジェルストランペット、ランタナなどは、庭に植えつけると、夏中良い花を咲かせてくれます(10月下旬に掘り上げて、鉢に植え直す)。なお、デュランタなどは、根が自由に伸びられる間は花が咲きにくいですから、植え場所を考えましょう。

<家庭菜園・ハーブ>
ゴールデンウィークが明けると家庭菜園も忙しくなりますね。

 トマトやナス、ピーマン、キュウリなどの夏野菜は、充分暖かくなったこれからが植付け時期です。苗は、芽出しの双葉まで生き生きとし、節間が詰まってがっちりとして緑の濃いものが良苗です。人気のトウガラシは品種が多くなり、食用ホオズキなども販売されるようになりました一味違った品種・種類を作るのも家庭菜園の楽しみの一つですね。

 春早めに植えたジャガイモは、いよいよ収穫時期です。2、3日晴れが続いた時に収穫しましょう。

▲左から韓国激辛トウガラシ、
島トウガラシ、タカノツメ

 

▲食用ホウズキ「デザート宝月」

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イベント情報
第10回国際バラとガーデニングショウ(埼玉)
期間:5月13日〜19日
場所:所沢市・西武ドーム 連絡先Tel 03-5551-9542
URL:http://www.bara21.jp/
さつきフェスティバル(東京)
期間:5月25日〜31日
場所:上野公園不忍池畔
連絡先:Tel 03-3821-8430
鹿沼さつき祭(栃木)
期間:5月31日〜6月9日
場所:鹿沼市花木センターほか
連絡先:Tel 0289-76-2310
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日本園芸協会のホームページには役立つ園芸情報をたくさん掲載しています。
毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。
http://www.gardening.or.jp/colum/index.html


植物に関するいろいろな情報を満載したサイト「植物博物館」です。
植物を鑑賞したり、図鑑のように調べたり、様々な情報を無料で得ることができます。
http://www.horcul.com/top/


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