日本園芸協会毎月の庭木の手入れ
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■5月■ 6月 ■7月■
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(1)梅雨期のさし木
 今月は一年中で一番湿度の高い月です。常緑広葉樹類の春から伸長した新芽は一時生育を休止し、組織も充実してきたところなので、さし木にはよい時期です。原則として、この時期のさし木は本年生の枝をさしますが、クチナシ、ジンチョウゲ、サツキなど発根の容易なものは、開花後の新しょうが3節くらい固まった枝をそのままさしても活着し、早く大株に仕立てることができます。

{今、さし木のできる樹木]
 キャラボク、チョウセンガヤ、ドイツトウヒ、スギ、サワラ、トベラ、マサキ、ツバキ、サツキ、ジンチョウゲ、リュウキュウツツジ、クルメツツジ、オオムラサキ、アオキ、カクレミノ、モクセイなど
(2)庭木のせん定 <1> 生垣の刈り込み
生垣の新枝が長く伸びて見苦しくなっていますから、今年の中旬以降に一回は刈り込みましょう。今年伸びた新枝の基部を、少し残すところまで刈ります。上に伸びている枝を長く伸ばしますと、丈は早く高くなりますが枝が粗になって密度の薄い生垣が出来上がりますので、もったいないようですがばっさりと刈り込むのが上手な仕立て方です。ビナンカズラなどのつる物生垣は枝先を軽く刈り込みをするとよく、スギの生垣なども今が適期です。
生垣の刈り込み
ビナンカズラ、ムベなどのつる生垣はのびすぎて見苦しいので枝先を刈り込む。

<2> 花木類のせん定
 アオキ、ヤツデ、ナンテン、カクレミノなどは幹から不定芽を出す性質がありますので、この時期に葉のついている節の所で 切れば新芽を吹いて仕立て直しができます。大きくなりすぎた枝を元から切るか、あるいは切りもどして高さを調節します。地際から伸ばして形を整えるのもよい方法です。

花木類のせん定

オオデマリ、コデマリ、シジミバナ、ユキヤナギなどはなよなよした風情が大切ですから、新しく伸び出した枝で、 真っ直ぐに立ちあがった樹形を乱す枝(立ち枝)を切ります。カイドウ、ボケ、ザクロなどは、節間の長い、組織の軟弱な枝(徒長枝)が伸びてきますから、元から切ります。新枝も、長すぎるものは軽く先端を切り戻します。花のすんだアジサイは、そのまま残しておけば冬にはドライフラワーとして楽しめますが、不要のときは花が終わったら花首の下に葉を2枚付けて切っておきます。こうしておきますと、下の芽にまた花芽がつきますので、この時期にもう一度、花芽の位置まで切り戻すのです。クチナシは、開花後の切り戻しを急ぎましょう。遅くなると、花芽の形成がまもなく行われますので 花がつかなくなってしまいます。強い刈り込みをするのは避けた方が賢明です。

<3> 常緑広葉樹類の間引きせん定
 落葉樹を含めて今月に入ると幹のあちこちから芽(不定芽)を吹いてきます。不定芽はどこから出るかわからない芽のことをいいます。そのまま放っておきますと上部の勢力を阻害しますので、不要の物は切り取ります。また、地際からも枝が伸びてきます。これも不定芽の一種で、俗にヤゴといいます。これは早く取らないとやはり幹の方が衰弱します。ザクロ、サンゴジュ、ウメ、サクラなどはよく出ますから注意しましょう。この性質を利用して、逆に地際からたくさん枝を出させて(そう生といいます)、幹をなくして刈り込み仕立てにすることも樹種によっては行われます。各種の常緑広葉樹類はこれから夏にかけて枝が込んできます。うどん粉病やその他の病害の原因にもなり、樹形が乱れがちになりますので間引きせん定をしましょう。

剪定の方法