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 園芸ファン通信 VOL.61

台風で被災された地方の方には、お見舞い申し上げます。
日本以外でも、世界各地で大きな気象災害が続出しているようです。
何か、“異常気象”が“異常”ではなくなってきているようで怖いですね。
しかも、日本は地震の心配まであるのですから大変です。
さて残暑もそろそろ終わりに近づいたようで、本格的な秋の園芸シーズンに入ります。
ここは心を鎮めて園芸を楽しみましょう。

■秋咲きの花鉢物の入手と管理法

リンドウ、コスモス、ミケルマスディジー、シュウメイギク、ジョウロウホトトギスなど、いかにも秋を感じさせてくれる鉢物が出回ってきました。良品は、下葉までよく葉がついていて、しおれたり縮れたりした葉がないものです。

<種類別の管理法>

●リンドウ
日向に置き、水切れに注意。半日陰程度でもよいが、日が当たらないと花が開かないので注意。

鉢植えのリンドウ「福寿盃」

●コスモス
株の大きさの割に小さめの鉢に植えられていることがほとんどなので、入手したら1〜2回り大きめの鉢の植え替えるのがよい。特に1鉢に複数植えされたものは、要注意。日向に置かないと、株が倒れやすい。

コスモスも鉢カバーで雰囲気が変わる

●ミケルマスディージ
ユウゼンギクの仲間で日当たりを好が、半日陰程度でもよい。
株が込んでいる場合は、一回り大きな鉢に植え直すとよい。
高性(背が高い)の場合は、鉢が倒れやすいので、鉢ごと一回り大きな鉢に入れておくと、倒れにくくなる。

●シュウメイギク
強い風の当たらない日向に置き、水切れに注意。やはり、一回り大きな鉢に植え直すとよい。

●ジョウロウホトトギス
なお、コスモスやミケルマスディージーなど次々に花が咲き続ける種類には、液体肥料を2週に1回追肥します(そのほかの種類には、花の時期には肥料は不要)。
水やりは、鉢土の表面が白く乾いてきてからたっぷりと与えるようにします。


■ポインセチア・カランコエの短日処理

ポインセチアやカランコエは、普通に管理していたのでは、クリスマスのシーズンに花(や包葉)が咲いてくれないことが多くあります。こうした種類を上手に楽しむためには、短日処理を行うのが確実です。

カランコエもポインセチアもクリスマスに家庭で楽しむ時は短日処理が必要  カランコエもポインセチアもクリスマスに家庭で楽しむ時は短日処理が必要
<短日処理をするわけ>
1日のうちで、夜が長いときを短日といい、逆に昼の長いときを長日といいます。
ポインセチアやカランコエのように、夜の期間が長くなると花を付ける性質の植物を短日性植物といいます。
短日性の植物は、秋になると自然に花芽をつけるのですが、建物の照明や街路灯などの光があると短日の条件にならず、クリスマスまでにうまく色ずいてくれないことがあります。
そこで、人工的に光を遮断して確実に短日状態にすることが必要になります。


<短日処理の方法>
夕方の5時から朝の9時くらいまでの間、株がすんなり入る程度の大きいダンボールをかぶせて光を遮断します。
これを毎日繰り返します。

ポインセチアでは1か月から1か月半もすると、花芽ができ、包葉が色づいてきます。
そうしたら、もう、光に当ててかまいません。 なお、あまり株が大きいとダンボールをかぶせにくくなるので、初夏に挿し芽をして株を更新し、その株を育てて8月中下旬に摘芯をして枝を出させるようにすると手ごろな大きさに仕上がります。

カランコエの短日処理は1か月くらいでよく、今の時期に短日処理をすれば、クリスマスころに花を咲かせることができます。

■コンパニオンプランツを利用しよう

一緒に植えておくと病害虫の発生が抑えられたり、生育がよくなる植物の組み合わせがあります。
これをコンパニオンプランツ(共栄植物)といいます。

コンパニオンプランツにはハーブ類やタマネギ・ニラ・ニンニクなど、香りが強い種類が知られています。
その香り成分が害虫を忌避させたり、病気の発生を抑えてくれるようです。
ただ、植物の組み合わせによっては、逆効果となる場合もありますので、注意しましょう。
今年は、コンパニオンプランツを使って、上手に野菜を栽培しましょう。
タイムはキャベツと

●コンパニオンプランツの例
・キャベツ類と相性のよい種類――カモマイル、ミント類、タイム、ローズマリー
・イチゴと相性のよい種類――タマネギ、ボリジ、ナスターチウム
・ニンジンと相性のよい種類――チャイブ、コリアンダー、セージ
・タマネギ――カモマイル
・エンドウ(マメ類)――ローズマリー、ワイルドストロベリー

ボリジはイチゴと相性のよいコンパニオンプランツ
●相性の悪い例
・キャベツとボリジ 
・タマネギ(ネギ類)とマメ類



■季節の手入れポイント

<花壇・ガーデニング>
そろそろ、来年の春花壇の設計を決める時期で、普通はチューリップやスイセンなどの秋植え球根を中心にすることが多いのですが、望みのものがうまく入手できるかが問題です。
メーンの球根に、どの草花を組み合わせるか、また、花色や草丈など、案を複数作っておくとよいでしょう。
秋の種子まきは、日中の最高気温が25℃以下になったころが目安です(例年ですと、9月15〜20日ごろから)。
また、この頃が熱帯花木類や宿根草類、ハーブ類の挿し木・挿し芽ができる次期です。

*協会のホームページ“季節の庭園作業”の9月号に「秋植え球根の植え方」や「挿し木・挿し芽の仕方」が載っています。ご覧ください。

<花木・庭木>
今年は台風の当たり年のようで(ここ数年、同じことをいっているような気がします)、まだまだ警戒が必要ですね。
庭や建物などで、補強や手入れの済んでいないところがないか、早めにチェックしておきましょう。

クチナシ類ではオオスカシバの発生期です。油断すると丸裸にされてしまいますから、スズメバチに似たガが飛んでいたら要注意です。
また、収穫のすんだ果樹類ではお礼肥えを与える時期です。
*協会のホームページ“季節の園芸作業”の9月号に「果樹・花木のお礼肥え」が載っています。ご覧ください。

<花鉢物・観葉植物>
鉢に根の回った花鉢物を入手した場合は、すぐに1回りほど大きな鉢に土をあまり崩さずに植え替えるのが得策です。
そうすれば、根詰まりよる水切れが防げて、花が長く楽しめます。

短日(夜が長くなる)で花芽形成するポットマムやポインセチア、初恋草、カランコエには夜間の照明を避けましょう。
ミヤコワスレやシャコバサボテンも花芽形成時期です。
よく日に当てるようにし、水やりを控えめにします。
やはり充実期のノビル系デンドロビウムやオンシジウムも同様の管理です。
夏の間、半日陰に移しておいた鉢物類も、直射日光に弱いもの以外は日向に出すようにします。

<家庭菜園・ハーブ>
今月も秋冬野菜の種まきの時期。シュンギクは10月上旬、ホウレンソウ10月一杯にまけばよいでしょう。
ダイコン、ハクサイ、レタス、キャベツ、ブロッコリーの苗は9月上旬に畑に定植します。
ナス、ピーマン、オクラは中旬に化成肥料を追肥し、土寄せしておきます。

ハーブでも残暑が収まり、気温が25℃以下になったら種子まき、挿し木ができます。また、花茎の出てきたバジルや夏越しできたナスターチウムは、切り戻ししておきましょう。


花見案内
*協会のホームページ“季節の園芸作業”の9月号に「コスモスの名所案内」が載っています。ご覧ください。

http://www.gardening.or.jp/colum/index.html

他にも、日本園芸協会のホームページには役立つ園芸情報をたくさん掲載しています。
毎月の植物の手入れ方法をご紹介する「季節の園芸作業」はこちらから。

http://www.gardening.or.jp/colum/index.html

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